第125話「国道の橋の下」
花粉症が段々と治まりはじめる4月下旬。
今日はゴールデンウイークと言っていいのかよく分からない29日の祝日。
その日はとても晴れた日で、新しいゲームソフトと、ついでにデバイス類も買いに行く気になった。
家から近くの家電量販店まで歩いていると、ふと、目に留まったものがあった。
「・・・そう言えば、ここだっけな」
歩いていたのは、川沿いの土手上。
見えたのは、国道の橋。いや、正確には橋の下。
相変わらず、うす暗くて人気のないところだ。
歩を止めたが、すぐにまた歩き出す。
買い物を済ませると、近くのスーパーでお菓子とお花を購入した。
そして戻ってきた。国道の橋の下に・・・。
「懐かしい・・・って、言っちゃだめか」
ここは、平林綾香が自殺したところだ。
花束を、おおよそ彼女がいた場所へたむける
手を合わせて、そして、頭の中が虚無な感覚。
彼女のことは、今でもよく覚えている。
とても陽気な女の子で、黒くまっすぐな髪。
そして忘れもしない、あの柔らかい唇、、、。
「はぁ・・・」
「何してんの?」
「ひぃっ!?」
びっくりした。
急に声をかけられた。
しかも、かなりの近距離で。
まったく気配に気づかなかったので、思わずキモい声を上げてしまった・・・。
んで、声の主は・・・。
「えっと・・・」
「何してんの?」
「あいや、別に」
あれ・・・こいつ誰だ?
がっしりとした身体つきに、ワックスをかけたかのような髪。
いかにも陽キャって感じの男子・・・。
「ん? 花? ここで誰か死んだのか?」
「えっと・・・ど、どちら様・・・ですか?」
「は? 俺のこと知らんの?」
「えっと・・・」
「マジかよ。んじゃ、自己紹介ね」
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