第123話「適当でも何となくの勘は重要」


「三永瀬さん、何かありますか?」


天文部の活動を考えるのが面倒だったので、今日入部したばかりの三永瀬に丸投げしてみました。


ここは先輩の俺がしっかりすべきなのだろうが、あいにく俺は社会不適合者なので、そういう常識的なことにはとらわれません。



「えぇ・・・っと。普段、どんなものを観測してるんですか?」


「天体観測だと・・・流れ星とか?」


「だったら・・・この時期だとこと座流星群」



岩船先生やセシルでも感じたことだけど、天文学に興味のある人たちって、頭の中に流星群の名前とか時期とか覚えてるんですかね。


いま普通にこと座流星群って単語が出てきたけど、普通に知らん名前の流星群。


有名ってわけでもないだろうし、何と言うか、すごいですね(語彙力)



「でも、今年は日中にピークだから・・・」



と、そんな情報まで予習済みという。


バカな俺でも昼間に流れ星が見えないことぐらい知っている。



「まぁ直近じゃなくてもいいんじゃないか? どうせ校外で観測することになるんだから、それなりに準備とか必要だと思うし?」



そう言い、夕凪先生を一瞥する。



「そうね。でも、夜間の部活動はさすがに難しいんじゃ・・・」


「ア、ソナノ」


「岩船先生との部活だと、普通に夜間あったの?」


「エーット」



そう言えば、岩船先生との天体観測は、形だけの部活動だった気がする。


プライベートで集まって、それで天体観測をする。


さて、これをどうやって夕凪先生に言い訳するか・・・。


下手なことを言うと、岩船先生に迷惑がかかる。


あいや、責任を負うのは岩船先生だから俺にとっては何でもいいんだけど・・・うーん、何となく、それだけは避けなければならないと、俺の第六感が叫んでいる。



「夜間とは言っても、時間はそこそこ早いですよ。19時とか」


「なるほどね」



ナイスおれ。


その時間帯なら、ギリギリ部活動の活動ができる時間帯。


口が裂けても、真夜中まで・・・なんて言えないからね。



「三永瀬さん、他に何かあるかな?」



俺がそう言う。何となくだが、蒼となら会話が出来そうな感じ。


まぁこれは業務コミュニケーション的な感じではあるが・・・。



「そ、そうですね・・・ゴールデンウイーク付近に、みずがめ座η(エータ)流星群があります・・・けど」


「けど?」


「ピークが放射点が昇る前ですし、月齢16なので・・・」



なんか天文学的な専門用語が飛んできた。


文系の夕凪先生は目を点にしている。


俺もよく分からない単語が多いが、何となく理解できることがある。



「月齢16。満月・・・ですか」


「そうですね」



ヤッタ。当たりです()


もちろん9割適当ですけどね。


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