第122話「やっぱり他力本願」
「せっかく新入部員も入ったことだし、今日はどんなことをするの?」
そんな夕凪先生の問いを、俺は新入部員である三永瀬蒼に転嫁した。
「え・・・えっと・・・」
戸惑う彼女は、最終的にこんな回答を口にした。
「普段、どんなことをしているんですか?」
まぁ、そうなりますよね。
今は仮入部期間。
普段どんなことをする部活なのだろうか。
そういうのを体験する期間。
まぁ彼女の場合、是が非でも天文部に入部するらしいが・・・。
「普段か・・・そうだな。特に何もしてない・・・が、正直な回答」
「特に・・・何もしてない?」
「まぁ、何もしてない。というか、何かしようにも昼だから」
「あ、あぁ・・・そうですよね」
うまーいように言い訳を通すことができた。
まぁ他所様の天文部がどんな活動をしているのかは分からないが、俺の経験上、今まで天文部らしい活動は天体観測ぐらいしかやっていない。
でもその天体観測は、放課後の部活動の時間に行うことはできない。
つまり、そういうことだ。
だから、特に何もしないのだ。
「じゃあこの時間はどうするの?」
夕凪先生から面倒くさい質問。
「何もしないです」
「何かしましょうよ」
「何もできないです」
「なんかないの?」
「ないです」
「岩船先生が顧問してたときも、そんな感じだったの?」
「うーん・・・まぁそんなことはなかったですね」
「と、言うと?」
「例えば、次にする天体観測の予習とか」
まぁ、そんなことをやった記憶はないんですけどね。
「なるほど。では村上くん、今日はそれをやりましょう。よろしく」
「よろしくって、俺はそう言うのよく分からないですよ」
「えぇ・・・?」
いつも岩船先生に頼ってたからな。
俺は天文学には詳しくない。そこに尽きるわけだ。
「まぁそういうことなので、三永瀬さん、何かありますか?」
「わ、わたしですか・・・?」
彼女は天文学に興味のある人間だ。
ここは、彼女に全て任せるとしよう。
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