第120話「平穏は突然失われる」


コンコン。


不穏なノックの音が聞こえた。


もしかして、仮入部に来た新入生・・・。



「どうぞ」



その一言を、夕凪先生がする。


部室のドアが開かれると、そこには・・・。



「どうも」


「あら、岩船先生」



天文部の前顧問、岩船先生だった。


なんだ・・・と、安堵。



「村上、元気か?」


「おかげさまで」


「そんなお前に朗報だ。入部希望者だ」


「ブハー」



泡吹いて倒れました。もちろん冗談ですけど。


でも気分はそんな感じ。


んで、よく見ると岩船先生の隣には、おさげの女の子がいた。


小柄の体格をしていて、物静かで大人しそうな風貌。



「初めまして。三永瀬蒼(みながせあおい)です」



想像以上に幼い声だ。


でも、ガキって感じのしない声。


見た目も小柄だし、電車とか小児料金で乗れちゃいそうな感じ。


まぁさすがにそこまで小さくはない・・・かな。


でも最近の小学生ってデカいらしいから、それと比較すると小学生でも通用しそうな感じ。



「あ、どうも。村上です」



彼女、入部希望者ということは、1年生なのだろうか。



「入って入って」



手招きして、笑顔で迎える夕凪先生。



「じゃ、私はこれで」



そう言い、風のように姿を消す岩船先生。


そして、取り残される俺。



「ほら、部長さん」



夕凪先生にそう言われ、肩をトントンと軽く叩かれる。



「あ、はい」


「新入部員ですよ!」


「え、えっと・・・仮入部とかじゃなくて・・・?」


「あ、はい。入部します」



マジデスカ。


仮入部なら適当にあしらって終わりだが、入部となると話が変わってくる。


俺しかいない天文部は、これにて終了のようだ。


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