第119話「部活動紹介」


部活動の仮入部期間が始まった。


この期間は、1年生がどの部活に入るかを吟味する期間。


各々の部活動が魅力を宣伝し、新たなる部員を獲得しようとしている。


が・・・。



「村上くん、一応部長でしょ?」


「一応」


「天文部を宣伝しなくていいの?」



部員が一人ということで、必然的に部長の俺氏。


新たな部員を獲得するために宣伝をするのが普通ではあるが、俺は人付き合いが苦手だ。


ゆえに、新しい部員など必要ない。



「しないです」


「した方が良いと思うけど」



そう、新顧問の夕凪先生は言う。


もちろんその意見は正しい。


でも現状、部員がいない方が俺的には好都合。



「やらないです」


「頑固ね」


「何とでも言ってください」


「村上くん、人付き合いとか苦手なの?」



唐突に飛んでくるそんな質問。


真意にドンピシャすぎて逆に怖い。



「ど、どうしてですか?」


「担任の先生とかから聞いたんだけど、いっつも自席で一人でいるって」


「そうですね・・・まぁ休み時間は読書とかしてますよ」



教室じゃいつもそんな感じだ。


友達とかいないし、作ろうとも思わない。


他人からこちらへアプローチしてくるわけでもないし、俺は他人とつるむ気はない。


誰も損してないし、誰も被害を受けていない。


それでいいではないか。



「楽しい?」


「楽しいですよ」


「そっか。でも人付き合いは必要よ? 社会に出たときとか」



そう言われてもなぁ。


おれ、ニートになりそうだし。


と、そんな会話をしていると・・・。


コンコン。


不穏なノックの音が聞こえた。


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