第117話「春の新しい出会い」


コンコンコン。


ノックの音が3回聞こえる。



「ようやくだ。どうぞ」



岩船先生がそう言うと、部室のドアが開かれる。



「おはようございます。岩船先生。そして、村上友彦くん」



そう言ったのは、岩船先生とは正反対のおっとりとした丸顔の女性。


ロングスカートに、上はパーカーという組み合わせ。



「えっと」


「あら、知らない? 夕凪奈琴(ゆうなぎなこと)よ」


「夕凪・・・先生?」


「そりゃ先生だろ」



岩船先生がそう説明。


彼女は先生らしいです。


私服なのでそんな感じはしました。


というか、見るからに大人ですね。



「社会科の先生だ。村上は知らんのか?」


「えーっと・・・」


「知らなくて当然よね。授業もってないもの」


「すみません」


「いいのよ。覚えてね」


「はい・・・それで、夕凪先生がどうしたんですか?」


「しばらくの間、私に代わって彼女が顧問となる」



と、岩船先生が言う。


ということは・・・。



「そうですか・・・そうなんですか!?」



問題が解決したって、そういうことか。


確かに、新しい顧問を見つければ問題は解決する。


しかし、まぁ・・・。



「よろしくね、友彦くん」



なーんかこの人、苦手なタイプだ。


あいや、俺は人付き合いが苦手であり、要するにほとんどの人が苦手なタイプなのだが・・・。


この人は特に苦手だ。


なんというか、無差別に穏やかでにこやか。


これが一番怖い。



「は、はい・・・よろしくお願いします」


「それじゃ、あとはよろしく」


「え、えぇ!?」



あとはよろしく。そんなセリフを吐いて、岩船先生は退室していった。


部室に残されたのは、俺と夕凪先生だけ・・・。


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