第111話「抹茶のキットカット」


電車に揺られる。


セシルに言われるがまま移動して、やって来たのは空港。



「飛行機までまだ時間あるんじゃないの?」


「あるよ。それまで観光よ」



観光。空港の中でそんなことできるのか?


そう思ったが、意外と色々あるのが最近の空港。


まず向かったのが、土産屋。



「パパとママにお土産買ってく」


「おう」


「日本の土産って、何がいいと思う?」


「え、えぇっと・・・」



日本の土産。


そんなこと言われても、日本人の俺にはよくわからない。


セシルの両親は、ヨーロッパの人。



「西洋人ウケする土産ってなんだろ」


「友彦日本人なんじゃないの?」


「俺は非国民みたいなもんだからな」


「ヘー」



冗談だったのだが・・・。


冷めた点の目で「へー」という返事。


とはいえ、日本の土産って分からないな。



「何がいいんだろ。セシルから見て、日本のイメージって?」


「分からない」


「この半年間何を学んだんですか!?」



半年間、異国で留学してそれですか・・・。


いや、そんなもんなのか?



「マウントフジ」


「うん」


「ニンジャ」


「うん」


「シノビー!」


「日本に来たことのない外国人みたいな反応しないで!?」


「そっかー」



富士山はまぁ分かるとして、それ以外は現代日本には存在しない代物です。


んで、そんな冗談も交えながら、見つけたのがこれ。



「これでいいわ!」


「これでいいのか・・・?」



セシルが手に取ったのは、キ〇トカット。


抹茶味のキットカ〇ト。


どこにでも売っているお菓子だ。


もちろん海外だと買えないのかもしれないが、数ある中でなぜそれを・・・。



「抹茶好きなの?」


「別に?」


「ならなぜ!?」


「抹茶って、日本っぽいじゃん?」


「ア、ソウナノ?」


「ウン」



らしいです。


抹茶って、ウケるらしいです。


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