第105話「人のこころと自分のこころ」


「お待たせ、友くん」


「いえ」



友奈がやってきた。


表情はいつも通りのにこやかさ。


普段と変わらないシャツにズボンのスタイル。


本当に、いつも通り。


岩船先生と二人きりで話をしていたようだが、どんな話をしていたのだろうか。


気になるところではあるが、俺の知ることではない。というより、知る由がない。



「友くん、佳奈美ちゃんが倒れるのは初めてだよね」


「そうですね。その口調だと、定期的に倒れてるんですか?」



物騒な物言いだな。


定期的に人が倒れるなど、普通のことではない。



「そうねぇ・・・最近はなかったんだけど、以前にもこういうことはあってね」


「もしかして、以前にやたらと岩船先生の様子を気にしていたのは・・・」


「まぁ・・・ね。一応気にかけた方がいいのかなぁって」



そういうことだったのか。


ある時期を境に、岩船先生のことを気にかけていた・・・といった感じだったので、周期のようなものがあるのだろうか。



「ちなみに岩船先生って、、、その・・・どうして倒れたとか」



かなり訊きにくかった。というか、訊いていいものなのか・・・。


友奈も答えにくそうな表情をする。


でも。



「超わかりやすく言うならば、うつ病。かな」



と、答えてくれた。


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