第104話「こいつはいつも暇そうにしている」


病院に友奈が到着した。


まず、岩船先生の姿を見てほっとした様子だ。



「ごめんね、ちょっとだけ、佳奈美ちゃんと二人だけにして」


「はい」


「大した話じゃないんだけどね。そうだな・・・屋上にいてくれる? 終わったら私の方からそっちに向かうよ」


「わかりました」



ということで、病院の屋上へ向かう。


エレベーターに乗り込み、そして病院の屋上。


高いフェンスに囲まれているが、そこには青空が広がっていた。



「ふぅ・・・」



ちょっと一息。ベンチに座り、スマホを取り出す。


すると、セシルから連絡がきていた。



『今日、部活じゃないの?』



そう言えば、セシルには何も連絡してなかったな。



『その予定だったけど・・・というか、セシルはもう学校に所属してないよね?』


『暇だから行こうとしたんだけど、部室がもぬけの殻だったから』


『そういうことか。今日はお休みだよ』


『そう。友彦は今日暇?』


『そうだな・・・暇ではないかな』


『珍しいね』



なんか、馬鹿にされたような気分。


岩船先生のことをセシルに言うかどうかは悩む。


しかし、俺の判断で決定していいことではない。それだけは確かだろう。



『いつも暇そうで悪かったな』



とりあえず、そう返しておいた。



『今度、暇なときに声かけて』


『わかった』



そんなチャットの会話が一段落したところで・・・。



「お待たせ、友くん」



友奈がやってきた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る