第100話「春休み、朝の部室で・・・」


春休みに入った。


セシルはこの春に、ヨーロッパに帰ってしまうらしい。


しかしそれは、4月の上旬とのこと。


しっかり日にちは聞いているので、俺と岩船先生で、空港まで向かうと決めている。


まだそれは、セシルには話していないが・・・。


まぁそれは、今はどうでもいいこと。


今日はそれとは関係なく、部活動で学校に来ている。



「おはようございま・・・す?」



部室のドアを開けると、そこには床に倒れ込む岩船先生の姿。



「先生?」



話しかけても、応答がない。


しかし、呼吸の音がある。


静まり返った部室の中で、それだけははっきりと聞こえる。


ということはつまり、寝ているということ。



「こんなところで寝てると、風邪ひきますよ」



寝てるとするなら、なんともだらしない体勢だ。


腕をさすって、起こそうとする。


しかし、一向に起きる気配がない。


どんだけ眠りが深いんだ・・・と思ったが、ふと、口元を覗いてみると・・・。



「…先生?」



口元が、わずかに動いてる気がした。



「・・・」



しかし、何を言っているのかは聴こえない。


耳を口元に近づけて、澄ましてみる。



「タス、ケ・・・テ」



助けて? どういうことだ。



「ムラカミ、キュウキュウシャ」



その言葉を聞き取り、ようやく状況を把握する。


岩船先生は、寝ていたんじゃない。


倒れたんだ。何かしらの原因で。


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