第99話「レッド・ポイント」


学年末試験。日程は4日間。地獄のような期間だった。


来る日も来る日も、命がけのテスト。


俺やセシルが通う高校は、普通に留年という制度が存在する。


学校によっては救済処置なんかがあったりするが、この学校にそんなものは存在しない・・・と思う。


少なくとも、俺が知る限りでは存在しない。


つまり、テストで赤点を取ったら、即終了というわけだ。



「キタヨー」



テスト期間が終わり、結果が開示された日。


意気揚々と部室に入ってきたセシルを見て、一安心・・・。



「どうだった?」


「赤点2教科!」



安心できなかったよ。



「どうするんだよ!?」


「いやだから、わたしには関係のないことだよ」


「あ、そっか」



そう言う問題ではない気もするが・・・。


まぁでも、来年度はセシルが日本にいることもない。


だから、留年しようが進級しようが関係のないことなのだ。



「友彦はどうだったの?」


「全てぼちぼち」


「面白くないわね」


「試験にネタ要素を持たせるのが間違ってる気がする」



もちろん赤点はないですよ。


俺はセシルと違って、進学に関わることですから。


死ぬ気で勉強しました。



「あ、そうそう。テストでレットポイントだった奴は、今度の週末に補習あるからよろしく」



と、これは岩船先生。



「マジデスカ」



と、セシルの目が点になる。


今週末は、セシルさん普通に日本にいますもんね。


んで、ここで素朴な疑問。



「先生、レットポイントって赤点のことですか?」



と、これは俺の言葉。



「うむ」


「赤点のことレットポイントって言う人初めてみた」


「2009年のアニメの歌詞であっただろ」


「さすがに世代じゃないです」


「そっか。ちなみにセシルは、何の教科で赤点だったんだ?」


「科学基礎と物理基礎」


「どっちも私の教科じゃないか・・・」



岩船先生→理科教師。


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