第94話「普段は空気と化す先生氏」


3学期と言ったら、避けては通れないのが・・・。



「学年末試験・・・終わった」



テスト範囲を配られて、その範囲の広さに絶望する。


もちろん勉強は嫌だし、得意でもない。



「友彦、いつになく絶望してるネ」


「セシルはどうなんですか」


「アハハ、マジヨユウ」



つまり余裕はないということですね。



「お互いこれから、勉強漬けになりそうだな」


「テストイヤネ」


「でもセシルなら、英語はノー勉でいけそうだよな」


「え・・・(´・ω・`)?」


「なんで自信なさげなんですか」


「友彦はどこ得意なの?」


「うーん・・・これと言ってないかな」



得意教科と胸を張って言える教科は存在しない。


強いて言うなら現国かもしれないが、他と比べて点数が高いというわけでもない。


運動も苦手なので、座学は無理でも体育が得意とかいうこともない。



「ナンノトリエモナイヤツ」


「え、もしかして悪口?」


「ダイジョブ」



なにが大丈夫なんですか。


シャーペンを手の上でクルクル躍らせて、静かな部室にため息が響く。


テストまで2週間。


これからどうやって勉強するか。


どれだけ勉強するか。


色々考えないといけないよな。



「ねぇ友彦」


「なんですか?」


「わたし、勉強の仕方とか分からないから、手伝ってくれると嬉しいな」


「一緒に勉強するってことか?」


「ソネ」


「別にいいよ」


「ヤッタネ。なら、友彦の家におじゃまするよ」


「なんで俺の家!?」


「え、なら先生の家?」


「なんで私の家!?」



あ、ちなみに、この場には岩船先生もいます。


さっきまで黙っていましたが、ここだけはしっかりと口を開いてくれました。



「勉強するところは必要でしょ」


「ここじゃダメなの?」



ここというのは、天文部の部室のことである。


というか、ここで勉強するものだと思ってました。



「ダメ。お泊り会したい」



それが目的なんじゃないの? この子・・・。


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