第93話「星に願いを、流れ星は寝て待つ」


1月9日。今日は、天文部らしいことをするらしい。



「ちょっと時期が遅れたが、しぶんぎ座流星群を観測してみようと思う」


「しぶりん座流星群ですか」


「うん、ちょっと違う」



しぶんぎ座流星群。年末から1月中旬頃までに出現する流星群。


なお、しぶんぎ座という星座は存在しないらしい。


ザンネン。



「天体観測なんて久しぶりだね」



夜空を見上げて、セシルが呟く。



「確か、前にやったのが・・・」


「旅行に行ったときじゃない?」


「あぁ・・・あのときか」



数か月前だが、随分前のことのように感じる。



「セシルはさ、こんな天文部らしからぬ天文部に入部して、後悔してない?」


「別に?」


「なら良いんだけど、もっとそれっぽいことをしたかったかなぁって思ってさ」


「何かしたいときは言うし、それで断られたら一人でやるし、それだけのことだよ」


「そっか」


「できたぞ」



そこへ、岩船先生が声をかける。


いつの間にか敷かれていたシートに、モーフなどのかけもの。



「この時期は寒いからな。カイロも用意したが、使うか?」


「ほしいネ。先生ちょーだい」


「あ、じゃあ俺も」



それから、シートの上に寝っ転がる。


流星群は、数時間観測して何個か見れれば・・・というレベル。


ずっと空を見上げていたら、首が疲れて肩こり必至になってしまう。


そうならないための、寝っ転がり戦法だ。


ちなみにその日は、流星群は何個か見れました。


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