第84話「1月の深夜は凍てつく寒さ」


1月の深夜は、恐ろしいほどに寒い。それはもう、肌に刺さるように。



「寒い・・・」


「あはは、友くん寒がりだね」


「友奈さんは、寒くないんですか?」


「まぁコート着てるし」



友奈が着ているのは、生地がそこまで分厚くないロングコート。


いわゆるトレンチコート。


モコモコの分厚いコートを着てそのセリフは分かるが、彼女が着ているコートは、俺から見て寒そうに見える。


というか・・・。



「コートなら、俺も着てますよ」


「あはは。そうだね」


「それでも寒いです」


「冬だからねぇ。カイロあるよ。それとも、私とくっついてあったまる?」


「冗談言わないでください」



ちなみに今は、近所の生活道路を歩いているところだ。


ここいらは住宅街とはいえ、さすがの深夜1時じゃ、辺りは静まり返っている。



「ねぇ友くん」


「なんですか?」


「佳奈美ちゃん、最近どう?」


「それ、前も聞いてましたよね」


「そうだっけ?」


「どうして、そんな質問するんですか?」


「心配だからよ」


「従兄弟という関係なのに・・・ですか?」


「まぁね。従兄弟とはいえ、小さい頃から関りがあるからさ」


「うーん・・・岩船先生は普通ですよ。いつも通り」


「そっか。ならいいんだけど」


「なにか、気がかりでもあるんですか?」


「ちょっとだけ・・・ね?」


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