第83話「あけましておめでとうございます」


日付が変わると、西暦が変わる。年が明ける。


今年はどんな一年になるのだろうか。そんなことを考えるが、特にこうするとかの予定は無い。



「そろそろ寝る? それとも、オール?」



岩船先生の従兄弟、友奈がそういう。



「私は寝るぞ。電気はつけていても構わないがな」



そう言った岩船先生は、洗面台の方へ行ってしまった。


恐らく、歯磨きでもするのだろう。



「友くんはどうするの?」


「そうですね・・・正直、どっちでも良いんですが・・・」


「私もどっちでもいいのよねぇ」



例年の俺は、オールでゲーム。


もしくは、昼夜逆転してそもそも論で起きている。


そのどちらかだ。



「友奈さんは例年、どうしてるんですか?」


「いつもは・・・気分かしら?」


「そうなんですか」


「佳奈美ちゃんは寝るって言ってるし、散歩でも行く?」



と、友奈からのお誘い。


今は午前1時過ぎ。外は真っ暗。


正月とはいえ、この時間に出歩いてる人はそう多くはない。



「別にいいですけど、どこ行くんですか?」


「その辺かなぁ」



行き先はないんですね。


ほんと、その辺ふらふらするだけになりそう。



「分かりました」



特に予定があるわけではないし、眠いわけでもない。


なので、散歩に行くことには賛成だ。


承諾すると、軽く支度をする。


そんなタイミングで、岩船先生が居間に戻ってくる。



「どっか行くのか?」


「友くんと散歩だよ。佳奈美ちゃんも行く?」


「私は寝る」


「そっか。んじゃ帰ってきたとき起こしちゃったらごめんね」


「どうせ起きないから心配するな」


「そっか。んじゃ、いってきます」


「いってきます」


「あぁ、いってらっしゃい」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る