第80話「岩船先生の年齢は・・・」


「よし、友くん」


「はい」


「早速だけど・・・」



岩船先生の部屋で、友奈と二人だけになってしまった。


そして、彼女はベッドからこたつへ移動する。


向かい側に俺が座り、お互いがこたつの上にあったみかんを手に取る。



「えっと、なにを・・・?」


「ほら、この前連絡したじゃん?」


「あぁ・・・岩船先生の様子がどうこうってやつですか?」


「そそ。あれからどうかなぁって」


「どうと言われましても、いつも通りですよ」


「いつも通りかぁ」


「あの、前も聞いたような気がするんですけど、どうしてそんなことを聞くんですか?」


「ん? まぁ、ちょっとね」


「そこが一番気になりますよ」


「気になっちゃう?」


「はい」


「あはは」



軽く笑うと、一瞬だけ真面目な顔をする。


でも、それはほんの一瞬。すぐに元通りの顔に戻って、冗談交じりにこう言う。



「佳奈美ちゃんにもイロコイな話とかないのかなぁってさ」


「え、えぇ・・・」


「だってほら、あの人もいい歳でしょ?」


「いや、先生の年齢なんて知りませんよ」


「知らないの? 教えてあげようか?」


「あ、それはちょっと気になるかも」



もちろん化粧をしているってのもあるだろうが、普段の先生はかなり若く見える。


20代と言われても疑問を抱かない程度には・・・。


20代後半から30代前半といったところだろうか。


しかし、20代というほど若くないようにも見える。


それは、見た目とかの話ではなく・・・。


何と言うか、それだけの貫禄みたいなものを感じるから。



「どうなんですか?」


「ちなみに、友くんの予想は?」


「えっと・・・20代後半ぐらい?」


「当たってるわね」



当たってるのか。


一応、想像よりちょっと低い年齢を言ったつもりだったのだが。


ってきり、もう30代いってるのかと。



「20代後半って、まだまだチャンスのある年齢だと思うんですが」



チャンスというのは、さっき言ってた恋人云々のこと。



「そうかもしれないけどね、気がついたら取り返しのつかない年齢になってるのよ」


「は、はぁ・・・」


「んで、実際の年齢だけどね」



ニヤニヤっとした顔で、友奈は言う。



「佳奈美ちゃんの年齢は・・・」


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