第76話「今年のクリスマス(中編)」
12月24日。片田舎の商店街は、いつも以上に賑わっていた。
制服の上からコートを身にまとう俺とセシルは、そんな商店街を歩いていた。
「友彦、何か用事でもあるの? 私を連れ出して」
「まぁ・・・えっとな。あれは勢いというか」
「イキオイ?」
「さっき貰ったプレゼントあるだろ? あれのお返ししないと」
「してくれるの?」
「もちろん」
「やったー!」
無邪気に、そして素直に喜ぶ。
ここがセシルの良いところだろう。
そんなことを思いながらも、経験不足という言葉が当てはまる、とある深刻な状況になっている。
「セシル、聞いてもいいか?」
「なに?」
「プレゼントのお返し、何がいいか?」
「それ、聞いちゃうんだね」
深刻な状況とは、セシルに何をプレゼントしたらいいのか分からないという問題。
プレゼントは中身よりそこに込めた気持ちだ。なんて言う人がいるが、さすがにそれは間違っているだろう。
気持ち6割、中身4割・・・いや、気持ち4割、中身6割といったところだろうか。俺はそう思っている。
というか、女の子にあげるプレゼントって、何を選べば正解なんだ?
「よければ、聞かせてほしい」
「えー・・・急に言われてもなぁ」
と、ちょっと考える。
値段にも限度があるが、できるだけ欲しいって言ったものをプレゼントしたいところ。
「欲しい物・・・植民地?」
「帝国主義時代の人ですか!?」
さすがに植民地はプレゼントできませんね。
というか、この現代で、どうやって植民地を獲得するんですか。
あれですか? 土地でも買うんですか?
「もっと、手頃なものでお願いします」
「うーん・・・あ、あれがいいかも」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます