第74話「ニホンゴムズカシー!」


「あの、岩船先生?」


「なんだ?」


「えっと、友奈さんの件で」


「あぁ・・・」



期末テストが終わって、もう冬休みが目前となったある日。


テスト前にもらった岩船先生の従兄弟である、友奈さんの連絡先。


チャットを使ってそれなりに会話をしていたのだが、そこでこんな話が出てきたのだ。



「友奈さん、年末年始は岩船先生の家にお邪魔するそうですね」


「え、そんな話聞いてないのだが」


「まだ言ってないそうですよ」


「なんで言わないんだ? そして、なんでそれを村上が知ってるんだ?」


「それは知りません」



主目的は分からない。でも、俺と会いたいという理由なら聞かされた。


しかしまぁ、それは大義名分というか、建前というか。


とにかく、確実に他の目的があると思われる。


もしかしたら、岩船先生ならそれが分かるのかもしれないが・・・。



「はぁ・・・だるいなぁ」



うーん・・・。相談すべきなのか。


そもそも、友奈さんがこの街に来る理由を知ったところで、俺に直接関係することとは思えない。


強いて言うなら、理由付けに利用された程度。



「ところで村上」


「あ、はい」


「セシルの姿が見えないのだが」


「あぁ、セシルは補習ですよ」


「補習? 赤点でも取ったのか?」


「そうみたいですね。ニホンゴムズカシー! とか言ってましたから」


「ソッカー。とはいえ、セシルは普通に日本語喋れてると思うが・・・」


「喋るのと書くのでは違うんじゃないんですか?」


「なるほど。ルート3を書くことはできるが、言うことはちょっと難しいってのと同じか」


「ソレハチョットヨクワカラナイデスケド」


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