第73話「結論、分からない」


『どうも』



そんな三文字から始まったチャット。


相手は、岩船先生の従兄弟であり、陽気でテンションが高い飯田友奈さん。


一回だけ顔を合したことがあるが、関りが深いわけでもない。


そんな彼女が、今回おれに用事があるようだ。


ちなみに連絡先は、岩船先生経由で入手した。



『よろしくね。えっと、なんて呼べばいい?』


『別に何でも。村上でも友彦でも』


『なら、友彦ね。今日はちょっとお話がしたくてね』


『そうでしたか』


『佳奈美ちゃんのことでさ。彼女、学校ではどんな感じ?』


『どんな感じと言われましても・・・普通ですけど』


『普通とは?』



そんなことを言われても、答えようがない。


普通とは普通のことであり、いつも通り。日常。


どんな感じという質問もアバウトだが、普通というアバウトな回答を言語化するのは難解だ。



『いきなりそんな質問をして、どうしたんですか?』


『ごめんごめん。そうだよね・・・えっと、どう話せばいいかな』


『なにか、言いにくいことですか?』


『いや、そういうわけじゃないよ。ちょっとね、佳奈美ちゃんが心配になって』


『心配?』


『うん』


『なにか、心配事でもあるんですか?』


『ないよ? 佳奈美ちゃんって結構できる人じゃん?』



できる人なのだろうか?


岩船先生との関りは、部活動かたまにプライベート。


未だに先生の授業は受けたことないし、生徒ゆえに、職員室での仕事は分からない。


結論、教師としての技量はよく分からない。



『それなら、心配することないじゃないですか』


『まぁ、そうなんだけどね。でもさ、なにかおかしな様子とかだったら、これから連絡してほしいかな』


『まぁいいですけど』


『よかった。ありがとね』


『いえいえ』



そして、チャットでの会話が終わった。


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