第71話「だらしない人は突然の変化に対応できない」


12月というのは、寒さの厳しくなる時期。にもかかわらず、気温はまだまだ下がる一方。


毎日少しずつ気温が下がっていくのならまだいいが、ある日突然、一気に気温が下がる日もある。


今日がまさにそれだ。



「今日寒くない? 氷河期?」



そう言うセシルだが、今日の最高気温は5℃である。


寒いけど、氷河期ではない。



「部室行けば、暖かいですよ」



廊下を歩いているが、さすがに寒い。


今日は急に寒くなったので、コートとかの準備はしていなかった。



「友彦、よくそんな恰好してられるね」


「いや、寒いよ。コートとか用意できなくて」



制服の標準装備を身にまとっている。


この格好は、秋や春がちょうどいい感じだ。



「そうなんだ。貸そうか?」


「そしたらセシルがコート脱ぐことになるよ?」



今日のセシルはフル装備だ。


コートはもちろん、手袋とマフラーまでしている。


寒がりなのか?


そんなことを思いながら、部室へ着いて、中に入る。



「え・・・寒くない?」



セシル氏、絶望。



「おう、来たか」


「あ、岩船先生。暖房ついてないんですか?」


「つけないぞ。怒られるから」


「怒られるって・・・」


「センセイダンボウツケテ」


「その恰好を見ると、そこまで寒そうに見えないがな」



セシルの格好に対する岩船先生の感想。


おおむね同感だ。



「ザブイデズ」


「なぁ村上」


「なんですか?」


「セシルって、こんな寒がりキャラだったか?」


「いや・・・知りませんよ。急に気温が下がったから、余計に寒く感じるんじゃないんですか?」


「ほう?」



ちなみにそう言う岩船先生は、普段とほぼ変わらぬ様相でした。


まぁこの人の場合、おれと似たような理由でいつも通り説があるけれども。


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