第68話「とりあえず口につっこんで試してみろ」


旅館をあとにした。つまり、チェックアウトした。


車で市街地の中心街まで向かう。


今日はここら辺で観光だ。



「こう見ると、ここも都会ですね」


「村上、ここいらの人口は私たちの住んでる街よりも多いんだ。あまり生意気な口をきくと暗殺されるぞ」


「何でそうなるんですか」



今いる場所は、街の中でも最も栄えている駅前。



「ほら見ろ村上。駅前に松屋がある」


「そうですね」


「松屋がある。つまりここは都会!」


「先生の都会の基準が意味不明です」



ということで、駅前から少し離れたところにある、商店街っぽいところを歩く。


商店街とは言っても、そこは観光地。


土産屋や食事処が軒を連ねる。



「友彦、あれなに?」



何かしらに興味を持ったセシルが、俺の袖を引っ張り質問してくる。



「ん? あれは・・・おやき?」


「ナンデスカソレハ」


「えぇっと・・・岩船先生!」


「え、わたしか?」


「はい。なんか知ってそうなので」


「何だその偏見」



おやき。小麦粉やそば粉を水で溶いてのばした生地に、具材を包んで焼いたり蒸したりしたもの。中身は、野沢菜やナス、切り干し大根、季節の野菜、あんこなど。


誰も説明できなかったので、とりあえず口につっこんで試してみろということで購入。



「あ、これオイシイ」



セシルさんお気に召したようで、何よりです。


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