第67話「旅先の朝食」


旅館の朝ごはんを食べる。


夕食は客室まで運んできてくれたが、朝はバイキング形式だ。



「先生って、意外と和なんですね」


「それはどういう意味だ」


「いや、食べてるものが如何にも日本の朝ごはんって感じがして」



日本食には、一汁三菜というものがある。


岩船先生が選んだ料理は、主食の白米。汁物の味噌汁。3つのおかずとして、焼き鮭と卵焼き、そして納豆。加えて味のりもある。


一汁三菜を揃え、主食はしっかりと白米。如何にも日本の朝ごはんという感じだ。



「でも、飲み物はコーヒーダネ」



そこだけが惜しい点。いや、惜しくはないんだけど。


緑茶なら完璧だったよね。なんでコーヒーなんですか・・・。



「コーヒーは毎朝飲んでるんだ」


「そういえば先生、コーヒー好きでしたね」


「これがないと生きていけない」



完全にカフェ中ですね。


そしてセシルの朝ごはんはというと、これが岩船先生とは真反対って感じだ。


クロワッサンに名をパン・オ・ショコラと言うらしいが、その正体はただの菓子パン。


別のお皿の上には、板状の薄いチーズと、四角いバター。ブルーベリーのジャムなんかがある。飲み物はホットミルク。



「セシルのは、フランスって感じだね」


「実際はこんな感じじゃないよ」


「あ、そうなん?」


「クロワッサンは高いの」


「高いって?」


「値段。1つで1ユーロと数セントはする」


「そうなんだ」



そう言いつつも、それがどれだけの価値なのかは分からない。


1ユーロは大体130円と聞いたことがあるが、まぁそう考えると高いのかもしれない。



「なら、いつもは何食べてるの?」


「バゲット」


「へ?」


「知らない?」


「知ってるよ」


「知らない反応してたけど」


「知りません許してください」



バゲットは、フランスパンと言われて恐らく最初に思い浮かべる細長いパン。


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