第58話「やることがないと暇になる」


現在の時刻は14時半ごろ。今日は特に予定もないらしく、そして岩船先生に関しては・・・。



「アニメの聖地行ってくるから! じゃ、また!」



妙にテンション高く、そう言い残してどこかへ行ってしまった。


部屋に残されたのは、おれとセシルの二人。



「暇だな」


「ソダネー」


「どっか行くか?」


「何があるの?」


「分からん」



ここら辺は温泉街でもなければ市街地でもない。


行くところなんてあるのだろうか。



「従業員に訊けば、何かあるかもしれないけど」


「うーん・・・でもわたし、ちょっと疲れたから休みたい」


「そっか。ならお茶淹れるよ」



テーブルには、お茶と茶菓子がある。


ちゃんとしたやり方など分からないので、何となくで淹れてそれっぽく差し出す。



「ほら」


「アリガト」



そして一服。



「このお茶、美味しい」


「そか。多分緑茶だと思うけど」


「リョクチャ」


「うん。緑茶」



そして静寂。


おれとセシル、たまーに・・・いや、結構な頻度で無言になることがある。


ちょっと気まずいが、恐らくそれは向こうも思ってること。



「やることないね」



一応、そんな感じの声掛けはしてみる。



「やることはあるヨ」


「ん? なにかあるん?」


「ほら、ここにゴムがあるでしょ?」


「やらないからな!?」


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