第45話「おぼつかない会話」
ある日突然、留学生のセシル・ド・モンクティエという少女が天文部に入部した。
そんな彼女だが、日本語はかなり怪しい領域である。
それはつまりどういうことか・・・。
「えっと、セシルさん・・・? で、いいのかな?」
「はい」
「えっと、どこから来たの?」
「どこ?」
「えっと、Where are you from?」
「フランス」
「はぇー・・・フランスの、どこの街?」
「フランス」
うん、それは知ってるよ。
「フランスの、どこ?」
「ヨーロッパです」
範囲が広くなりましたね。
「町の名前」
「・・・?」
まぁこんな感じで、通じないことがマチマチ・・・。
中学英語ですら怪しいが、どうにか英語で会話を試みたり、翻訳を使ってフランス語で会話を試みたりした。
が、色々試しても通じることはなかった。
もしかしたら教えたくないのか? そう思い至ったので、今後は触らないでおくことにする。
「それにしても、なんで天文部に?」
「天文部、面白そう」
これは通じるんですね。
「そう? でも、天文部らしいことはしないよ?」
「大丈夫。そう、大丈夫です」
「そっか。昔から興味あったの?」
「少々」
「そうなんだ」
「友彦は?」
地味に名前を覚えられてることに驚きつつも、返答をする。
「うーん・・・あんまり興味はないかな」
「なぜ?」
「元々、部員が少なかったから入ったんだよ。この学校は部活強制加入だから、なるべくサボれそうなところで」
「サボる?」
「無断欠席みたいな?」
「友彦、それしてない」
「まぁ、何だかんだで来てるよね。面白いからなのかな?」
「やっぱ、面白いじゃん」
あー・・・。
セシルの面白そうって、純粋に天文学が面白そうってわけじゃなくて、そう言う意味の面白そうってことか・・・。
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