ChapterⅡ

第31話「夏のある日に」


夏休みに入った。部活は週1程度にはあった。


が、行く気にはなれなかった。


岩船先生もそれを察してなのか、来たくなければ来なくてもいいと言ってくれた。


遅刻や欠席は許さなかった岩船先生の言葉とは思えないが、そこは心中お察ししますということなのだろうか。


辛いのは岩船先生も同じではあるが・・・。


そんなある日、学校から着信があった。


電話なんて珍しいと思いつつ、着信メロディが鳴り響くスマホを手に取る。そして応答。



「もしもし。村上です」


「友彦か? 岩船佳奈美です」


「岩船先生ですか。どうしたんですか?」


「夏休みに入ってから、部活の活動日はこれまで2回。どっちも来なかったな」


「すみません」


「まぁ来なくてもいいと言ったのは私だ。そこを責めるつもりはない」


「はい・・・」


「でも、いつまでも家に引きこもっているようじゃダメだぞ」


「そう・・・ですよね。分かってはいるんですが」


「そこで、私から一つ提案だ」


「提案・・・?」


「きみ、明日から数日間、予定あるか?」


「ずっとないです」


「なら都合がいい」


「なんですか?」


「9時に駅前に来い。旅行するぞ」


「・・・はい?」


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