第21話「土砂降りの日」
その日は雨が降っていた。
部室の窓に、雨音が叩きつける。
「すごい雨ですね」
「そうだな」
この空間には、俺と岩船先生だけ。
今日は部活の活動日だが、これと言ってやることはない。
「あの、訊いてもいいですか?」
「なんだ?」
「この前の、手紙の件なんですが・・・」
この前の手紙とは、平林さん宛の手紙。
質問はその内容についてだ。
「何であんなこと書いたんですか?」
「中身を見たのか?」
「えっと、平林さんが教えてくれました」
「そっか。とはいえ、何でと言われても困る」
「と、言いますと?」
「言葉のままだからな」
「銃殺も言葉のままなんですか・・・?」
それはもちろん違う。そう弁明した上で、座っていた椅子から立ち上がり、窓の方を見つめる先生。
最初の一瞬は遠くを眺めているようだったが、すぐに目線を下に向ける。
「どうしたんですか?」
まるで、誰かを見ているようなまなざし。
ただ黙って、一点だけを見つめる。
それが数秒。そして、特に慌てることもなく言った。
「お客様が来たようだ」
お客様。それはどういうことだろうか。
そう思ったが、天文部に来る来客など一人しかいない。
特に聞き返すこともなく、それから1分ほどすると。
「遊びに来たよ」
そう言い、入ってきたのは平林さん。
しかし、様子が変だった。
「え、どうしたんですか?」
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