第8話「岩船先生の天文学講座(中編)」
「きみにも分かりやすいように説明しよう。そうだな。車や電車は、カーブに差し掛かると速度を落とすよな?」
どこか馬鹿にされているような質問ではあるが、まぁいいだろう。
「それは分かりますよ」
「どうして速度を落とす必要があると思う?」
「曲がり切れないからでしょう」
「なぜ、曲がり切れないと思う?」
「哲学ですか?」
「物理だ」
「なら分かりませんね」
「なら、思い出してほしい。動いてる物質は、他からの力がない限りは・・・」
「ずっと直線で動き続ける」
「それを?」
「等速直線運動」
「つまり、直線を走っている時は、直線運動をしているんだ。これがカーブに差し掛かるとしよう。これは、外部からの力が加わるということだ」
「なるほど」
「しかし、根底は直線運動だ。他からの力が加わらない限りは、直線運動をしようとする。しかし、他からの力があれば、それに影響される」
「ということは、カーブに入ったとしても、直線運動をし続けようとする」
「その通りだ。だから、カーブを曲がっていると、曲がっている方向と逆方向に身体がもっていかれるんだ。これは人間の身体だけでなく、車や電車、全ての物質にも同じことが言える」
「スピードを落とすのは、そのためと?」
「そうだ。スピードが速い。つまり、強い力で直線運動をしていると、カーブしようとする力が弱まってしまう」
「えっと、つまり・・・」
「直線運動の力が勝ってしまい、カーブを曲がりきれない」
「あぁ・・・」
「このカーブを曲がろうとする力と直線運動をしようとする力を、遠心力って言うんだ。ちなみに直線運動をし続けようとする力を慣性力って言ったりもする。慣性の法則だからな」
ということで、ここで話がようやく本題に戻ります。
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