第6話「活動内容は自分で決めてください」
放課後になる。すると、部活動の時間だ。
天文部の活動場所は、校舎の端っこにある空き教室。
6畳ほどのとても教室とは思えない広さには、岩船先生と俺しかいない。
「えっと、なにするんですか?」
「その前に、きみ、部長だからよろしくな」
「部長? 俺がですか」
「当り前だろう。一人しか部員がいないんだから」
「そ、そうでした」
「活動内容については、自分で何がやりたいかを考え、それを私に報告したまえ」
「そういう感じですか」
「そういう感じだ。これは去年までも同じこと」
「ちなみにですが、去年は何をしていたんですか?」
「色々だな」
「色々と言うと・・・」
「例えば、そこにある望遠鏡で天体観測。あとは研究とか」
「研究?」
「座学要素の強いやつだよ」
「あ、あぁ・・・なるほど」
天文に関して興味のかけらもない俺からしたら、どれもピンとこない。
天体観測はさすがに理解できるのだが・・・。
「天体観測と言っても、夜じゃないと無理ですよね」
「当り前だ」
「そしたら、部活動の活動時間でやるのは無理なんじゃ」
「この時間にやることは無理でも、夜にやることならできる」
「そんな時間まで部活できるんですか?」
「最終下校時刻は、学校から出なければならない時間。それ以降に出歩いちゃいけないって決まりではないだろう?」
つまり、学校外で夜に天体観測をするってことですか。
話を聞く限り、去年までいた部員たちは、天文学に興味がある人たちなのだろう。
いや、天文部なのだから、本来はそういう人たちが入部するわけなのだが・・・。
「ど、どうしようか・・・」
何かをやれと言っても、何も思いつかない。
それっぽいことも、実行に移そうと考えるだけで億劫になってしまう。
「そもそも村上は、天文学についての知識はあるのか?」
「ほぼ無知です。何かやろうにも、知識が無さ過ぎて」
「なら、学習ということでもいいぞ?」
「学習・・・ですか?」
「あぁ。本でもいいし、私でもいい。何が知りたい?」
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