第7話 日常、原動力。
「クソが」
裕斗は登校しながら暴言を吐く。
やっと春休みの課題を提出できたと思ったら、来週から学力テストが始まるのだ。
「・・・」
(1時間目サボろっかな)
通学路にある公園を見ながら逃げ道を探す。
裕斗は勉強が嫌いだ。
そのため授業も受けたくない。
1年生の時もよく授業をサボっており、単位はギリギリだった。
正直、彼は学校にも行きたくないらしい。
勉強や部活など、学校に行く理由は人それぞれだが、裕斗は学校に行く理由などない。
しかし、彼のように『理由のない理由』で学校に通う人もいるだろう。
「・・・はぁ~」
ついに通学路から外れるかと思われたが、裕斗は『仕方がない』と言わんばかりのため息をついて、登校を続けた。
どうやら、今の彼には学校に行く理由があるらしい。
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「おっ、おはよう裕斗!」
「おはよう、謙ちゃん」
裕斗が隣に来ると、謙介(けんすけ)はすぐに挨拶をした。
「謙ちゃんて来るの早いよね」
「いや裕斗が遅いねん!」
始業まであと2分。周りの生徒もすでに着席している。
「・・・」
裕斗は学校に来るかどうかも迷っていたほどなので、むしろサボらずに来たことを褒めてほしい様子。
「…なんやねんその『崇めよ』顔は」
「?」
(なんでわかんだよ)
自分の考えを読まれて、裕斗は驚きつつも、少しうれしく感じた。
「来週テストじゃん。謙ちゃんは大丈夫なの?」
荷物の整理をしながら裕斗は尋ねる。
「もちろん!計画的に勉強してるよ!まあ俺まだ部活もやってへんし!」
(やっぱ意外と真面目なんだな)
彼らはまだまだお互いのことを知らない。
「じゃあ勉強教えてよ」
「いや、俺そこまで頭よおないし…」
「いや絶対俺よりいいじゃん」
「それは…そのようやな」
「そこは嘘でも謙遜しろよ、『謙』介だろ」
「それ今関係ないやろ!!」
裕斗が適当なことを言い、最終的には謙介が突っ込みを入れる。
2-2教室の真ん中で行われるこの流れが通常のものとなってきて、多くのクラスメイトはそれを見て笑っている。
(…まぁ、いっか)
そう思った途端、始業のチャイムが鳴った。
裕斗は勉強が嫌いだ。
学校にも、行かなくていいのであれば間違いなく行かない。
そんな彼は、別にやる気が出たわけではないが、やはり『仕方がない』という心持で、今日も授業に臨むのだろう。
関西弁の男の子 鳳雛 @hosu-hinadori
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