18ページ,そしてギャルになる

───二日目、夜、キャルメル宅リビング、ラーゼ・クライシス?───


「おーい! ご飯できたよー!」


 脱衣所で着替えていると、キャルメルの声が聞こえる。準備が早いな。キャルメルの両親が準備してくれたみたいだ。私は別に飯を必要としないが、食えない訳でもないからな。


 じゃあ、さっさと着替えてキャルメル達の方にいくとするか。


 よし、着替え終わった。


「行くか」


 相変わらずこの屋敷は広い。といっても王宮程ではないが。


 当たり前だな。あんなデカい宮が通常サイズだったら世も末だ。なんの世が末だか知らんがな。


「あっクー! こっちこっち!」


 屋敷を歩いていると彷徨っていると、ようやくキャルメルが手招いてる姿が見えた。


「もう飯の準備はできているのか? 随分と早いな」


「うん! パパとママが用意してくれたの」


「早く! 早くー! ご飯食べたーい!」


「たべたーい」


 マリアちゃんたちのかす声が聞こえる。


「じゃあ食うか」


 そこに行くと、置かれていたのは大量の豪華な料理だった。


「今日はお客さんが二人いるからな! これがウチの料理メイドたちの本気の力だ」


 誕生日席に座っているキャルメルの父が豪快にドヤ顔で言う。───虚偽反応は起きていない。まあ、嘘は吐かないよな。


「じゃあ食べようか」


 目を合わせると、皆は一斉に食べ始めた。


 そして、瞬く間に食材は無くなっていく。どうやらケルが食いしん坊でとても食い意地を張っていた。まあ、僕も結果を言うと、久しぶりにこんな美味びみな食べ物を食べたと感じる。


 泣いちゃいそうだ。


「ふああ」


 欠伸をするマリア。食後、皆でゲームをしているともう子供は寝る時間になっていた。


 言い忘れてたけど、この世界普通にゲームとかあるし、ア〇プルのパクリみたいなカップルという携帯会社あるし。


「さてじゃあ子供は寝ようか」


「やだあ……まだ……ゲームやるんだ……」


 そう言いつつも、もうマリアちゃんは眠たい顔をし、目を擦っている。


「ケルちゃんもね。もう寝よう?」


「?」


「はい、言葉わからないフリしても無駄だから。ケルちゃんが賢いことはもう分かっているんです」


「……」


 悔しそうな顔してこっちを見るな。助け船はださないぞ。


 それに今回に限ってはキャルメルのことのほうが正しいからな。


「キャルメル、マリアの部屋はどこだ?」


 マリアをかかえ、尋ねる。


「あら、ちゃん付けはやめたのね。マリアの部屋は私が運ぶから安心して」


「了解」


 抱えていたマリアを下ろす。するとキャルメルがマリアを抱えた。


 ちなみにマリアはさっきのあの言葉を最後に、夢へ飛び立ったようだ。


「じゃあ貴方たちのお部屋はさっき紹介したからそこに向かってね」


「そういうことだ。行くぞ、ケル」


「わかたよ」


 多少、言語が違うが大丈夫だ。明日にでも強制魔法勉強をさせるつもりだからな。


 そうして、僕とケルは自分たちの(借りた)部屋に行く。


 ん? なんだ? ケルが自分の部屋に手招きをしている。なにかあるのか?


 暫くして、私は自身の部屋へと行く。ちなみにその部屋というのはこの宮に合っているほどの豪華さだ。


 さあてと、歯磨きは体的にしなくてもいいからこのままベッドin!


 ちなみに、歯磨きをしなくてもいいというのは前述の通り体的なのだが、分かりやすく言うのなら生まれつきの体質だ。


 体に刻み込まれた能力、《刻印能力ガルフ》というやつだ。まあこの《刻印能力ガルフ》は人によっても数が違く、俺の場合ウン千個ある。ちなみに自分でもたまに確認しないと分からなくなるやつが多いし、全体の六割くらいが日常でしか使わない《刻印能力ガルフ》だ。


 栄養や物質代謝などを必要としない《刻印能力ガルフ》だったり……


 便利なんだよ?便利なんだけどなあ……パッとしないよねえ……地味。


 たまにチートな《刻印能力ガルフ》はあるんだけど、数が少ないんだよねえ。


 だからあんま俺は頼ってない。


「なに独り言してんの?」


 急にキャルメルが話しかけてきた。ていうかいつの間にこんな所におったん。


「さっきから居たわよ。ずっと独り言してたから私の事気が付かなかったんじゃない?」


 次から気を付けよう。あと、〈読心術〉で私の心読まないでください。


「癖だから、難しいわね」


「じゃあその癖を辞めてください」


「善処するわ」


「それって絶対やらないよ───」


 言いかけたが、それをキャルメルが言葉で遮る。


「ねえ、明日って何する?」


 ボクノコトバサエギラナイデクダサイ。


「えーっと、明日はちょっと用があるからパスで」


「それってなにをするの?」


「えーっと」


 言うのを躊躇うが口を開く。


「山を吹き飛ばすと、思う」


 僕の発言にキャルメルは凝視する。そして言う。


「……山って……あそこの?」


 少し呆れた風に昨日、勇者と出会った山の方角を指さす。その問いに僕はコクコクと頷き、動作で答える。


 その僕の動作にキャルメルは驚きながら僕に向かって声を荒げる。


「あの山って神山だよっ⁉ なに勝手に吹き飛ばそうとしてるの⁉ 絶対、後で怒られるよ⁉」


 もう夜なのにうるさいよ? 近所迷惑だよ? そしてそんな声出してると明日、声枯れるよ?


 そして最近あなた騒ぐキャラに定着し始めているよね?


 どんどんキャラ崩壊してない? 最初のころとは大違いじゃん。


 見てみなよ。4話の自分。もうキャラ崩壊ってレベルじゃねえぞ!


 そんなことを思いつつも、心の中で押しつぶし、話を続ける。


「だからあの山に祈祷きとうしている人がいたのか」


 なるほどな。それなら納得。


 でも、それならわからないことがある。


「じゃあ、あの山に祈祷している人たちは何て言う宗教なんだ?」


 僕がそういうとキャルメルは言いづらそうに口をしどろもどろにする。


 だが、やがて開口する。


「えーっとね……その宗教の名前はカシス教、って言って、拝一神教はいいつしんきょうなんだよ。そして、その宗教の主神は『森羅万象を全知している最高全知神、ラーゼ』なんだよ……」


 コソコソとキャルメルは言う。


「なんでそんな言いづらそうに言うんだ?」


 僕が疑問を提示すると、キャルメルはさらに周りを気にし始め、キョロキョロとする。


「ラーゼという神は、一般的に邪神と呼ばれている神なんだよ」


 だからあまりこういうことを言うと宗教の人に怒られるから言わない方がいいよ、と付け足された。


「……なるほどな。わかったよ」


 ここまでそんなことが言われているのか。……辛いねえ。


 話が終わり、新たな話題が生まれないため、部屋に静寂が続く。


 しかしその静寂を破ったのはもちろんキャルメルの方だった。


「話変わるけどさ、私の呼び名変えない?」


「すなわち?」


 もう少し詳しく答えてくださいと遠回しに言う。


「いやさ、私たちパーティーメンバーなんだから愛称とかあった方がよくない? クーはクーって愛称付いてるし、私にはないのは少しだけ距離感があるっていうか……」


 なんだその理論。


「まあいいぞ。俺も、キャルメルは少し言いづらいと思ってたんだ」


「ちょっとそれは私の名前、ディスってる?」


「そんなわけねえよ」


 嘘なんですけどね、とボソッと呟く。


「聞こえているわよ」


 おっと、聞こえてたか。これからは善処したいと思います。


「でもまあ、キャルメルの新たな呼び名は結構決めてたもんだぞ」


「そうなの?それなら言ってちょうだい」


「キャル、というのはどうだ?」


 ギャルにも似てるし。ピッタリだと思う。


「やっぱその名前になるよね。みんなにも言われてるから。それに私もその名前は気に入ってるから」


 気にいってるんだな。


「じゃあ改めて、キャル。よろしく」


 手をキャルの方へ差し出す。


「こちらこそ」


 僕の手をキャルは握りそれは握手の形へと成った。


「じゃあ、私はもう寝るね。おやすみ」


 キャルは手を振り、部屋を出ていく。こちらも手を振り返す。


 そして誰もいない静かな一人の部屋へとなった。


「じゃあ僕も寝る準備をしましょうか」


 といってもベッドinするだけなんですけどね。


 明日は予告通り神山(笑)を吹っ飛ばす予定だからしっかりと睡眠しましょうか。


 睡眠、要らない体だけどね!


 でも、休むことは大事だから寝る!おやすみ!


 いい夢見れるといいですね。

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