第14話



 コミネがオオサワの娘と小犬と遊んでいる間にバーベキューの準備も終わっており、皆んなはコンロの前に集まっていた。そんな頃にモトキがやって来た。


 モトキは直ぐにオオサワのもとへ行き、爽やかそうな笑顔で談笑を始め出した。モトキが冷えた缶ビールの栓を抜くと、ハナダが紙製のお皿と割り箸を差し出している。子供や犬と遊んでいる間に、コミネはどうも隔絶された世界にいるような錯覚に陥る。


 そこへ、オオサワの妻が大きめのお皿に焼けた肉や野菜を山盛りにしてやって来る。


「そろそろお遊びは止めにしてお食事にしなさいね」


 と娘に向かって言うと大皿を娘に持たせて、オオサワの妻はコミネにウインクをして缶ビールの栓を抜いて手渡す。


「テーブルは、あそこにある小さいものを運んでくださりませんか」


「ええ、ありがとうございます」


「御免なさいね、お客様を使ったりして」


「いいえ、遊んでばかりいて、何もお手伝いしてませんでしたから」


「そんなことないですよ、子供がお世話になりまして。御免なさい、大切なお話のお邪魔をしてしまって」


「構わないですよ。それに、私の遊び相手をしてくれたのはお嬢さんだけじゃなくて、小犬ちゃんにもお世話になりましたよ。では、テーブルを取って来ますね」


「有り難う御座います。私もこちらでワインでも頂こうかしら」


「ええ、どうぞ、ご遠慮なく」


そう言うとコミネはテーブルを取りに歩いて行った。

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