第118話 サードステージ2

◆ダンジョン?宇宙空間?

カーナ視点


ザザ━━━━ッスッテンコロリーっ



スッテンコロリ、ケツを滑らせ迫り来る2次元おおいぬ座の点と線。

一体、どうなるの??


バコォ━━━━━ンッガラガラッ

(ここはボーリングのストライク音)


おお、まさにストライク。おおいぬ座の星座が車両に当たって見事に点と線がバラバラです。思わず合掌してしまいました。

おおいぬ座様、どうか成仏して下さい。


あるじ、あんまりなのだ』

「!?」


キョロキョロ?

はて?たった今、声が聞こえましたが気のせいですね。

幻聴、幻聴、成仏、成仏。

お仏壇はハセガワーっ南無~。


あるじ、我は成仏出来ないのだ』


やばっ、化けて出た?!

いけません。

何かお経をあげましょう。

目を瞑りながら色々なお経を唱えます。



なむあみお陀仏死んだら駄目よ。

なんみょうほうれんホウレン草。

何故に缶詰で強くなる船乗りさん?

それでも報連相は大事ですね社会人。



あるじ、何を言っているのだ?』

「カーナ様、ヒューリュリ様です」


んん?

いつの間にか新幹線運転席が開き、オルデアンちゃんと白い犬?が現れました。

ペットの放し飼いは止めましょう。


あるじ、ヒューリュリなのだ』

「あら?ヒューリュリ様、お久ーっいつの間に乗り込んだの?」


『お久ーじゃない!勝手に森を出ただけじなゃなく、悪人共に捕まっていたと聞いた』



あちゃー、私の保護者を自負するヒューリュリ様。お顔が某映画のオオカミ母さんみたいに眉間にシワが寄ってます。

怒ってます?怒ってますねぇ。


「あはは、連絡無しで飛び出したのは悪う御座いました。でも、たまには海外旅行をしたかったのよ。日々の日常を忘れたかったの」


本当は28号にこき使われるのが嫌だったんだけどね。

だってビール工場の社長から派遣社員に転落してからの毎日、おばちゃん達との井戸端会議しか息抜きなかったからたまには日常を離れたくなるじゃないですか。

自由な一人旅はいつか誰でも思うものなのです。

青春18切符とかいいですよね。



『はぁ、まあいい。とにかく無事で良かったぞあるじ。今後は必ず我を連れていくのだ』

「ええーっ?!」


『なんだ?』

「何でもないです」


ヤバっ

いつの間にかヒューリュリ様に主導権を取られてしまいました。

まいっちんぐ町子先生です。

仕方ありません。

暫く下手したてに出る事と致しましょう。


「ところでどうやってこの車両に乗り込んだの?」

『なんだ?普通にあるじの魔力を追っていたらココに着いたぞ。走ってきただけだ。途中、何故かツルと転んだが気づいたらコヤツの隣におったのだ』

「ヒューリュリ様、コヤツではありません。オルデアンです」


『おお、そうであったな。オルデアン』

「ヒューリュリ様、モフモフです」

「オルデアン、わらわにも触らすのじゃ!」


二人?の親密さに駆け込んできた織姫おりひめちゃん。

ありゃ、随分仲良しになったのね?

どうなってるの?


「ヒューリュリ様と仲良しね、オルデアンちゃん?」

「カーナ様、私達同盟を結んだんです」


「同盟??」

「カーナ様にピッタリ同盟です」


「は?」

「カーナ様にピッタリくっついて離さない同盟です。お互いに見聞きしたカーナ様の事を共有し、しっかり守る事を約束しました」


私にピッタリくっついて見聞きした事を共有って私、プライベート無いって事?

ストーカーじゃないのソレ?!



「オラそんなのは嫌じゃーっ!」




ガガンッガンガンッ


「きゃああ!?」

『うおっ、部屋が揺れるぞ?!』

「何事じゃ?」

「あっ、みんな、外を見てみて!!」



窓の外、宇宙空間にポッカリ浮かんだ惑星が見えました。

赤い星、火星でしょうか?


キンコンカンコン、キンコンカンコンカンコン、キンコンカンコン


おっと、ここでユーエーさんのチャイムです。そーいえば20年ぶりに変わったんでしたね。

という事は??


『『まもなく惑星イオ京都駅です。銀河東海道線、マゼラン山陰線、暗黒星雲湖西線、アンドロメダ奈良線と冥王星近鉄線、ジュピター地下鉄線はお乗り換えです。今日も宇宙新幹線をご利用くださいまして有り難う御座いました。惑星イオ京都駅を出ますと、次は赤色巨星名古屋に停まります』』



遂に私達は惑星イオ京都駅に到着する事になりました。

終点かと思っていたら、惑星イオは通過駅で京都って何なの?!

ま、まあ、いいでしょう。

既にダンジョンですらないし、観光できれば私はオッケー構いません。

えっ、清水寺はないわよね!?



って、名古屋爆発するんかい!

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