第117話 サードステージ

◆ダンジョン▪宇宙空間?

カーナ視点


A long time ago, in a galaxy far, far away…





カラカラカラカラッカチッ


「あう?!王子様から婚約破棄され国外追放の危機?ルーレットを三回廻して免罪符ナンバー、ラッキーセブンが出ないとスタートに戻るぅ!???」

「フヘヘへ、残念でしたカーナ様。ラッキーセブン、中々出ないですよね」

「そうじゃ!わらわなんかずっと裏の畑でポチが鳴く、ここ掘れワンワンで不発弾が出て一回休みばかりじゃ!一番前がたまに足踏みしなきゃ追い付けなくて駄目なのじゃ!」



と、云う訳で(何が?)、顔の見えない車掌に連結外され宇宙の深淵で絶賛迷子中の私達。


やる事無いので、何故か亜空間収納に入っていたボードゲーム、バルカン▪スポック社の【一生ゲーム悪役令嬢バージョン】?を三人で満喫中。


「えーと?ハネムーン中に旦那の浮気相手が乱入して三角旅行に?彼氏の引っ張り合いで泥沼へって、うわっ最悪じゃん?!そんでもって3マス戻る!」

「彼氏の隠し借金が発覚して婚姻がご破算に?はあ?一回休み」

「また、ポチがここ掘れワンワンじゃ?地面から旦那の元カノの骨が出て警察沙汰に??恐いのじゃ!!」



ちょっと、ナビちゃん?!

この一生ゲーム、アダルト版?アダルト版だよね!?

いやいや、6歳児二人に早すぎじゃない!



「オ、オルデアンちゃん、織姫おりひめちゃん。このゲーム、難易度高めだから別のゲームにしようか。ちょっと教育上、良くないし……」

「何でですか?面白いですよ??」

「え、面白い?」

わらわはここ掘れワンワンばかりでつまらないのじゃ!」


「じゃ、じゃあ、ちょっと一休みしよ。そろそろ【ご褒美セット】にお願い出来る時間だから。ね?」

「【ご褒美セット】!カーナ様、今度は二千本松牧場の濃厚ドリームプーリンが欲しいです!」

「おお【ご褒美セット】、待ってましたのじゃ。わらわは大岩井カスタードプーリン6個入りじゃ!」


「いや、セット物だからどれか一つなんだけど………」

「もう!織姫おりひめちゃん、二千本松牧場の濃厚ドリームプリン!」

「いやや、大岩井のカスタードプリンセットじゃ!」


ひゃああ、二人が襟首掴んで取っ組み合いになってます。困ったなぁ。

何せ【ご褒美セット】は三時のおやつ時間にセット物、一セットしかお取り寄せが出来ません。

え?美味しくてレアで価格が高い方にすればいいじゃない?

最初はそう思ったのですが、問題があるんです。


先ず味はほぼ互角ですが、卵黄の濃厚さでは二千本松牧場に軍配です。

だけど大岩井は一カップ当たりのグラム数が二千本松牧場より多く、食べごたえで違います。

更に価格帯もほぼ同等。


こんな悩み、ありますよね?

味や見た目、価格帯が僅差で量で差があるって。

なんとも悩ましい贅沢な悩みですが、普通なら両方買って食べ比べしたいところです。

が、それを許さないのが【ご褒美セット】のいやらしさです。

ナビちゃんのケチんぼー!


「じゃあ今日は大岩井にして、明日は二千本松牧場にしましょう?それでいい?オルデアンちゃん」

「カーナ様ぁ……」

「おお!カーナたん、やったのじゃ!!」


「カーナたん??」


あれから宇宙をさ迷ってすっかり打ち解けた二人だけど 、織姫おりひめって和服幼女にたった今【たん】付けされてしまいました?!

まあ、オルデアンちゃんの様付けもどうかと思うけど、この子結構肝が据わってるわ。



「カーナ様ぁ、私より織姫おりひめちゃんの方が大事ですかぁ………」

「い、いや、大事とかじゃなくてね、えっ?オルデアンちゃん?」


ポロポロポロポロッ

「オ、オルデアンちゃん!?」

「カーナ様の………馬鹿ぁ!!!」

ダダッバタンッ


「え、ええーっ?!」


なんと、オルデアンちゃんが大粒涙で大泣きです。

泣きながら新幹線運転席に立て籠りました。

いや、おかしいでしょ!?

新幹線運転席はちゃんと鍵閉めといてよ!!


ドンドンドンッ

「オルデアンちゃん!オルデアンちゃん!」

「………………」


何て事でしょう。

立て籠りのオルデアンちゃん、完全にヘソを曲げてます。

呼び掛けても返事がありません。

いやー困ったちゃんです。

どうしたらいいのでしょう?!


ガコンッ


「ふぇっ?何の音!?」


「カーナたん、列車が動きだしてるのじゃ」

「ええーっ?!」


ガコンッガコンッガコンッガコンッガコンッガコンッガコンッガコンッ


あれれのレ?!

連結外された後、暫くして停車したままの車両が急に動き出しました。

まさかオルデアンちゃんが操作してるわけ?


「カーナたん、アレ?!」

「な、何かな織姫おりひめちゃん?」


私は織姫おりひめちゃんが指差しする方向に顔を向けました。

でも、そこは何も無い宇宙空間?

指差しした彼女の意図が分かりません。


織姫おりひめちゃん?」

「アレじゃ!星座が動いておるのじゃ!!」


「せ、星座?」


改めて宇宙空間を見直すと、なんと星座の形に星と星に線が引かれた2次元的星座が走ってきます。

それは私の記憶が確かなら、おおいぬ座と云われる星座に他なりません。

はい?おおいぬ座が列車を追いかけてくる?

そんなバナナ!?


ツルッ、すってんコロリ。


「ふぇっ?!」

「転んだのじゃ!?」


なんと、おおいぬ座が目の前でバナナで転びました。

そのまま滑空して此方に迫ってきます?


うえ?!

このままじゃ、おおいぬ座と列車が衝突してしまいます。


これから一体どうなるの!!???

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