第56話 千鳥足

『ヨー、ヨー、ヨー、アンチャン。イイ度胸ダナ』『アアン?モシカシテ、俺ラ、舐メラレテル?舐メラレテルヨネ?』『フザケテンノカ、テメェ?死ニテェノカ?』『フェード、フェード、フェーーードアウト?』『オサカナ咥エタ雪ウサギ、追イカケテ』『インドノ山奥、デッパノ伯父サン、骸骨食ッテ死ンジャッタ』『アカルイ家族計画』『コントローラーヲ自分デ操作スル矛盾。ナラ、コントローラーヲ操作スル自分ヲコントロールシテイルノハ誰?正太郎?』『うんち味のカレーと、カレー味ノうんち、アナタならドッチヲ食ベル?』


『お、お前達?いったい、何を言っておるのだ?』


何という事でしょう。

雪ウサギ達が千鳥足ちどりあしでヒューリュリ様に迫っております。全員、口に泡の白ヒゲ状態、喋っている事も訳が分かりません。殆んど、ゾンビ状態。

雪ウサギより何倍も大きいヒューリュリ様が、恐怖に顔を引きりながらズルズルと後ろに下がっております。

何だか情けないですね。ヒューリュリ様、応援しております。頑張れーっ。(トーン↓)

え、助けてやらないのかって?

嫌ですよ、何でって?



面倒くさ。臭?草?



と、いう事で、後はヒューリュリ様に任せ、私は【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】の境界で雪見酒ならぬ、雪見ビールで乾杯です。

こうして見ていると、雪景色も悪くないですね。綺麗です。ゴキュッ、ゴキュッ、ゴキュッ、プハー、はぁ、


ガサガサッ


ん?

何ですかね、あれ?プハー

なんか、林の中から人が出てきましたね。いきなりですね。ゴキュッ

何か、キョロキョロしてますね?ゴキュッ

まあ、どうでも、ええですがね。プハー

若い……男?でもない中年のオッサンやないですか。イケオジでもないし、好みではありません。ゴキュッゴキュッ

此方に向かってます?ね。ゴキュッ

はあ、ナンカ、どうでもエエですよ。ゴキュ

プハー

あら?千鳥足ちどりあしの雪ウサギが数羽、【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】の境界を越えました。男の方に向かっております。ゴキュッ

あらら、男が目を丸くして立ち尽くしてますね。驚いているようです。ゴキュッ

そりゃ、突然、何もないところから、千鳥足ちどりあしの雪ウサギが現れたんです。驚くでしょ、普通。プハー

どーでもいいれすゴキュッゴキュップハー

ありゃりゃ、雪ウサギ達が男に中ジョッキを勧めています。飲み会を始めるようです。

男が躊躇ちゅうちょしつつも、中ジョッキに手を掛けました。

飲むつもりですね。

私だったら、雪ウサギに得体の知れない飲み物を勧められたら飲みません。ゴキュ

ほう、匂いを嗅いで確かめているようです。驚いてますね。あまりの良き匂いに驚いているようです。

あ、飲みました。

おお、いい飲みっぷりです。

飲み終えてめちゃくちゃいい顔をしてますね。ビールの虜になったようです。

ありゃ、雪ウサギに土下座を始めました。

雪ウサギ達は胸を張ってます。

やたら偉そうです。

はあ、ヒューリュリ様といい、世の男どもは情けない様です。

雪ウサギに何か頼んでいる様です。話しは通じない筈ですけど、ゼスチャーでいろいろやってますね。

ゼスチャー分析、してみましょう。

何々?


(私は商人です。これは大変良い物です。是非とも取り引きしたいのですが、責任者の方に会わせて頂けますでしょうか)


こんなところでしょうか?責任者も大変ですね。私は関係無いですけど。

雪ウサギ達、頷いてますね。

あら、雪ウサギが此方に戻ってくるようです。千鳥足ちどりあしで。

ゴキュッゴキュップハー

どーでも、いいですねーっ。はりゃっ、こっちに来るよーです。ゴキュッ

んんん?

『女王様、オ話ガアリマース』


「女王じゃないれす。何か妖怪用かい?」

『人間ガ女王様二、ビールノ件デ話ガアルト言ッテマース』


「そうかい、りょうかい了解。ゼスチャー分析通り。でも何で私に言うの?」

『責任者ダカラデース』


あれれ?私、いつの間にか、責任者になっていたと?ゴキュップハー

面倒くさい。

「善きに計らえです、お前に任せた。ん?」


くーっ、くーっ、くーっ


はりゃ、この雪ウサギ、目の前で寝ちまいました。見回すと、皆、うつらうつらとしていますよ。しょうが無いですね。


『プハー、あるじ、旨い、旨いのだーっ』


ああ、ヒューリュリ様がタンクの前で一人乾杯しております。

雪ウサギ達は……殆んど、眠りこけてますね。アチコチでハチャメチャな体勢で、寝転んでます。なんだか死体置き場みたいです。

みんな、困ったちゃん、です。

はれ、何だか、景色が回りますね。

はて?何か、忘れているような??


ま、いいかです。所詮、酔っぱらいに何を言っても無駄。


だって、眠いんですもの。


おやすみなさい。


ZZZZZZ……。

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