第48話 雪ウサギ団体さんお着き

001ゼロゼロワンデス、超能力ハ使エマセン』

002ゼロゼロツーデス、空ハ飛ベマセン』

003ゼロゼロスリーデス、遠クハ見エマセン』

004ゼロゼロホォーデス、武器ハ……


いや、あんたら、何者ですか?サイボーグですか???その赤マフラーはどっから入手したんですか?勝手に私の頭、覗かないで下さいよ!


『私ダ、G13ジーサーティダ。後ロ二ハ立ツナ、以上ダ』


いや、可愛いコロコロした白ウサギルックスで、目がやたら鋭いギャップが怖いんです。

その棒は何ですか?スナイパーですか?私に照準を合わせるのは止めて下さい。



あれから数日が立ち、雪ウサギが団体で花畑にやって来ました。皆、コロコロした可愛い子達なんですが、勝手に私の思考を読んで、何故か、自分達の行動に取り入れているのです。本当に困ったちゃんばかりで、ストレス溜まりまくりです、はぁ。


『済まん、あるじ子奴こやつらは、相手の思考を読み、相手の好ましい行動を取る事で生き延びてきた、いわば、本能的なものなのだ。多少は大目に見てやってほしい』


「ヒューリュリ様?本能なんですか?相手の好ましい行動って、それ、必ずしも雪ウサギに好ましい行動か、分かりませんよね?」


『……そうなのだ。だから人間の狩りの対象になりやすい。またあるじも理解したと思うが、子奴こやつらは、読む思考を意味が分かって選んで読んでいる訳ではなく、本能的に読んでいるだけだ。読んだ思考が必ずしも相手に取って好ましいとは限らない。感情を読み、相手に合わせ行動する。それが子奴こやつらの習性なのだ』


それはそうですね。

相手が何時も、楽しい感情でいる訳ではありません。悲しい時の感情、怒りの感情、いろんな感情があるはずです。そんな中で、その場で読んだ断片的な思考を行動に反映させるなんて、ある意味、自殺行為です。


『フ、認メタクハナイモノダナ。若サユエノ過チトイウモノヲ……』


ええっと?何か、仮面を付けた雪ウサギが、一羽、独り言ですか??なんか、自分達の事を言ってません?

あと、そのアイテムは何処から入手してるんですか???


「分かりました。その件は諦めましょう。ですが、あれは何とかならないのですか?」


『済まん、奴らには久方ぶりに口にするご馳走なのだ。許してくれ、あるじ


はぁ、そんな事を言われたら、何も言えないじゃないですか。仕方がないですね。

私は花畑をもう一度見回して、大きな溜め息をしました。


今、私の花畑は、丸坊主になっております。私が咲かせた菜の花は勿論、ガーベラやチューリップに至るまで、もう花壇には何もありません。私が咲かせたお花達は、雪ウサギのポンポに入ってしまいました。

花壇には、お花の代わりに、お腹がまん丸くなって眠っている雪ウサギしか居りません。

あああ、私の努力が消えてしまいました。


まあ、いいですけどね。

私には、【スキル▪▶花召喚】が有ります。

一度、種から育てて召喚可能欄に登録された花限定ですが、最初から咲いたお花を召喚する事が出来るのです。

だから、雪ウサギさん達に食べられた花は、直ぐに再生する事が出来るのですが、今、召喚しても、また食べられてしまうだけです。


は?!そうでした。

肝心な事を聞かないといけませんでした。

誰に聞きましょうか。

取り敢えず、鉄人でいいですかね?


「あのぅ、28号さん?あなた達、どのくらい此処に住むつもりなんですか?あと、ご家族は何人いらしゃいます?」


『此処ハ居心地ガ良イノデ、ズット居ル事二シマシタ』


なんですと!?


『家族ハ、私ノ家族ガ千羽、従姉いとこノ家族ガ千羽、再従兄弟はとこノ家族ガ千羽』


……は?


又従兄弟またいとこガ千羽、サラニ、ソノ一族ガ六千羽、サラニ』


「ちったぁ、遠慮せんかーい!?」


ま、不味いです。

このままでは召喚したその瞬間から、花壇は丸坊主です。私の生活が、お花召喚の 無限廻廊むげんかいろうになってしまいます。思わず、頭を抱えてしまいました。


私の今後のスケジュールは、雪ウサギさん達の 下僕げぼくって事ですか!???

冗談ではありません!


『私ハ、一号いちごうデス。改造人間デハアリマセン』

『私ハ、二号にごうデス。改造人間デハアリマセン』

『私ハ、V3ぶいすりーデス。ダブルタイフーンデハアリマセン』


「はぁ?また、増えた!?」


ひゃあああっ、です。どうすればいいの!?

気がついたら、辺りが雪ウサギで埋まっていました。


『私ハ、……』



もう、いいから……。

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