第49話 自動種蒔き機
「はーい。皆さん、それでは始めて下さい」
ピョンピョンッ、パラパラ。ピョンピョンッ、パラパラ。ピョンピョンッ、パラパラ。
「いいですよーっ、その調子です。上手いですよーっ、はい、頑張っていきましょう」
ピョンピョンッ、パラパラ。ピョンッ、パラパラ。ピョンピョンッ、パラパラ。ピョンッパラパラ。ピョンピョンッ、パラパラ。ピョン、パラパラ。
うさぎ、うさぎ、何見て跳ねる、十五夜おーつきさーん、見て、はーねーる。
ピョンピョンッ、パラパラ。ピョンッ、パラパラ。ピョンピョンッ、パラパラ。ピョンッパラパラ。ピョンピョンッ、パラパラ。ピョン、パラパラ。
上手くいってますね、これでバッチグーです。はい、はい、続けて、続けて。
え?何をやっているかって?
ウフフフ、あの厄介な雪ウサギの有効利用を考えついたんです。
どう、考えついたって?
では説明しましょう。
あの雪ウサギ達に出会った日から、すでに1ヶ月。毎日めげずに花召喚を続けた私です。しかしながら、召喚と同時に丸坊主になる花壇を見つめて三十日。報われない日々を過ごしていた私が、ナビちゃんから頂いた天の声!
ピロンッ
『大麦の種が召喚可能になりました』
おお、大麦よ!あなたは何故、大麦なの!
大麦は世界最古の穀物の一つといわれ、およそ1万年ほど前から西アジアから中央アジア(現在のイラク付近)で栽培されていたといわれています。古代メソポタミアやエジプトなどでは、栽培した大麦をお粥にしたり、粉にして水で練って焼くパンにしたりして食べられていました。また、大麦を材料にビールも作られるようになりました。
まさに人類の進化の食卓に必ず登場した食物、それが大麦だったのです。
さて、そんな大麦を召喚出来るようになった私ですが、恐らく召喚と同時に、大麦の種は雪ウサギのポンポに入ってしまう事でしょう。
だから、ナビちゃんにお願いしたんです。
一回で召喚出来る種の数を、最大にして欲しいってね。そしたら、ナビちゃんが『ピロンッ、オーケーだぜ、ベイビー』って、いきなりキャラが変わっての返事が来たんです。
ナビちゃん、ヤンキーだったんですね?
ビックリしちゃいましたよ。
それで、さっそく召喚しましたら、もっとビックリしちゃいました。だって、私が一回で召喚できる大麦の種の量、なんと1トン!
そこのあなた!ブタが一匹じゃありません。
大麦の種が千キログラムです。ハッキリ言って、デッカイ麦山が出来ました。
さっそく雪ウサギが殺到しましたが、ちょっとやそっとでは無くなりません。勿論、一回で千キログラム、これでもかと召喚しました。
そして、ほとんどの雪ウサギが、ボール状態になって、転がるしか身動き取れなくなった頃、彼ら、彼女らに教えてあげました。
何を教えたって?
ふっ、ふっ、ふっ、すでに喰っちゃ寝状態の雪ウサギ達に教えてあげたのは、成人病のお話です。
がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性腎不全などなど。
ちゃんと講習会を開いて、
そしたら、どうなったと思います?
白かった雪ウサギ達が、青色雪ウサギに変化、いえ、お顔が真っ青になっていたのです。まさに、シテヤッタリでしたね。
そしたら雪ウサギ達は、私に泣きついてきたのです。
だから教えてあげました。
効果的なダイエット方法をね。
おっと、その前に【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】直径50メートルを、数ヶ所に召喚。その大きさも、直径500メートル位になりました。
東京ドームは直径が 約201mですから、だいたい東京ドームの2・5倍くらい?
とにかく【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】を拡げて、大麦が沢山植えられる環境を整えました。
そして、数千羽の雪ウサギに細かい穴が空いた背負い籠、【雪ウサギ用】をプレゼント。勿論、背負い籠は、ヤンキーナビちゃんが勝手に召喚頂きました。
そう、私は手に入れたのです。
じゃじゃーん。
【自動雪ウサギ種蒔き機】
ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、そして、雪ウサギ達にダイエットと称して、背負い籠を付け、大麦を入れて、【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】内を往復、さらにストップ▪アンド▪ダッシュも付ける!
完璧です。
こうして始まった雪ウサギ▪ダイエット▪種蒔き計画は順調に進み、数週間後、雪ウサギ達は見事に種蒔きを完遂し、ダイエットも成功したのであったとさ。
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