第33話 お茶作り考察

◆オルデアン視点


う、ん。


「おかあさま………」



私、オルデアンは今、目を覚ましたの。

お母様、お母様は何処?

…………。

ああ、さっきのは、お母様の夢だったのね。

このベッドは、お城のベッドより気持ちいいから、ずっと夢を見ていたのだわ。

きっと私を捜しておいでなのよね。

みんな、心配してる筈。

早くお城に帰りたい。

でも、ここが何処か、分からないし、一人で帰れる自信がないわ。

あ、天井が見える。

木が組んである天井、不思議だわ。

平民の家が木で出来ているって、聞いた事があるけれど、こんな感じなのかしら。

でも、とても木の香りがして気持ちいい。

私の隣にあるとても小さなベッド、御使い様のベッドだわ。

でも、御使い様はいらしゃらない。

御使い様は早起きなのね。

私も早く起きて、御使い様とお話したいわ。

何とか、御使い様の言葉を覚えて、お話が出来るようになりたいの。

お話が出来るようになれば、御使い様の事をいろいろ知る事が出来るし、お友達にもなってくれるかも知れないでしょう。

そうしたら、お城に一緒に行ってくださるかも知れないわ。

だってお城には、神様であるスプリング・エフェメラル様を奉った祭殿があるから、エフェメラル様の使いである、御使い様は時々帰られるはずだわ。

だから、その時に一緒に行きたいって伝えられないといけない。

だから、早く御使い様の言葉を覚えたいの。

ところで、御使い様は何処かしら。

私はベッドから起き上がると、窓のところに向かったの。

ああ、一面のお花畑。

とっても綺麗。

本当に神様の国にいるみたい。

お父様、お母様、お兄様、アルタクス、テリア、みんなをここに連れて来たいわ。

ここをみんなが見たら、きっと、きっと、大喜びね。


グゥ~~っ


……………。

ああ、オルデアン、はしたないわ。

綺麗なお花を見ながら、お腹を鳴らすなんて、お花に失礼なの。


グゥ~~っ


…………お腹すいたの。

御使い様は何処かしら。

あの、神様の食べ物が恋しいわ。

フンワリ甘くで、でもとっても濃厚で、お口に入れると、ふわっと溶けてなくなるの。

プルプルしていて、すごくいい匂い。

そう、のように!?

……………………あ、神様の食べ物の匂いがする!

あああ、食べたい、食べたい、食べたい。

何処から匂うの!?

あ、分かったわ。

このドアの向こうね?!

私、オルデアンは走ったの。

そして、直ぐにドアを開けたわ。

そうしたら、小さな机にお座りになった御使い様が、お口を開けて何かを食べようとしていたの。

けれど、私の姿を見たら、目を丸くして動きを止めたの。

どうしたのかしら。

あ、御使い様のお手元にあるのは、あの神様の食べ物!!!

御使い様、私の為に、ご用意して頂いたのですね。

有り難う、御使い様。

私は直ぐに御使い様に手を出して、神様の食べ物をオネダリしたの。

そしたら御使い様は、前と同じく笑いながら涙を流し、私に神様の食べ物を下さったの。

きっとスプリング・エフェメラル様から私に渡すように言われていて、その使命が果たせて喜んでいらっしゃるのね。

嬉しい、スプリング・エフェメラル様、感謝です。

あああ、再びこの神様の食べ物が食べられるなんて、なんとも夢のよう。

本当に味わって食べないといけないわね。

私は、その小さなカップを直接お口に持っていって、カップの中身をお口に入れたの。

はしたないけど、一つのカップは量が少ないから、こうしないと味わえないわ。


ぱくっ


んーーーーーーっ

おいひい。

スプリング・エフェメラル様、オルデアンは今、幸せです。

御使い様、有り難う。

ああ、また、一口で食べてしまったの。

次を食べたいわ。

あ、御使い様の後ろに、あの時の箱があるわ。

私はまた、御使い様に手を出してオネダリしたわ。

すると御使い様は、さっきと同じく笑い泣きしながら、箱を渡して下さったの。

有り難う、御使い様!

ああ、嬉しい。

残りは五個しかないから、ゆっくり味わって食べたいわ。

私は御使い様の、隣のテーブルに箱を置いて座ったの。

この丸い形のテーブル、ちょうど私サイズだわ。

椅子がないテーブルって、変わってるの。

でも、楽だわ。

この下の床?も、なんだか草?を編んで作ってあって、草の匂いが気持ちいい。

あ、御使い様、飛んでいってしまったわ。

お話ししたかったのに、残念。

でも今は、この神様の食べ物を頂かないと、スプリング・エフェメラル様に申し訳ないわ。


ああ、お父様、お母様、そしてお兄様、オルデアンは今、幸せです。



◆◆◆



◆カーナ▪アイーハ視点

オルデアンが起きる少し前


さて、ヒューリュリ様は放っておいて、問題は、このお茶の木です。


今、私の目の前にあるのは、お花が咲いた状態のお茶の木なんですが、ここからお茶を作るには、どうしたらよいのでしょうか。

むむ、ナビちゃん、教えてくれる?


ピロンッ


▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩

お茶は、全てツバキ科の常緑樹「チャ」の葉から作られますが、加工方法の違いによって、緑茶、ウーロン茶、紅茶などになります。

お茶の葉を摘み取ってすぐに加熱し、発酵(酸化発酵)しないようにして作ったのが緑茶、完全に発酵(酸化発酵)させるのが紅茶、その中間に位置するのがウーロン茶などの半発酵茶です。

▩作り方▩

お茶の葉を葉先の三枚の柔らかいところのみ収穫します。

茹でてから乾燥させ、焙烙ほうろくで直火にかけます。

焙煎ばいせん時間の目安は、ほうじ茶が1~2分です。

まず焙烙ほうろくを、余熱で器全体が熱を持つように、しっかりと弱火で熱する(1~2分)。

それを手早く炒って、弱火のまま焙烙ほうろくを火から離し、茶葉(約10gが目安)を素早く投入。

この時、 茶葉は焦げないように気をつけます。

完成 目安は緑茶、紅茶は1分、烏龍茶は3分ほどで、ふわっと香りがたったら完成。

焙烙ほうろくは、素焼きの土鍋どなべの一種】

▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩


おお、流石さすが流石さすが助佐衛門すけざえもん

ナビちゃん、ぐっとです。

これで、お茶作りはバッチリで………ん?

待って下さい。

これ、焙烙ほうろくが有りません。

肝心要かんじんかなめ焙烙ほうろくが無ければ、お茶を焙煎ばいせん出来ないじゃないですか。

片手落ちもいいところです。

はあ、ぬか喜びですね。


ピロンッ


▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩

【ぬか漬けセット】

ぬか漬け用樽たる

ぬか漬け用の石

生ぬか

赤唐辛子、山椒の実、昆布


ぬか漬けは、おうちで手軽に作ることのできる発酵食品です。

ぬかに含まれている“乳酸菌”には腸内環境を整えて免疫力を高める働きがあります。

また、乳酸菌は腸の働きを活発にし、肌荒れの原因となる便秘解消にも効果があるといわれています。


ぬか床作りにもちいるぬかには、生タイプと煎りタイプの2種類があります。

ぬかはそれ自体に油分が含まれているため、時間の経過とともに酸化が進んでいきます。そのため、生ぬかは精米したてのものをすぐに使うことをおすすめします。


赤唐辛子には防腐と引き締め効果があります。そのほかにも“粉からし”や“しょうがの皮”、“山椒の実”なども香りづけだけでなく、防腐効果に期待がもてます。

昆布は混ぜ合わせるたびに旨み成分が広がるので、おいしいぬか漬け作りには欠かせません。

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さて、さて、今日も朝から【ぬか漬け】作り。

いっぱい、いっぱい、こねましょう。

身体が朝からぬか漬け臭くなりますが、昔の農家では当たり前。

あんれ、お隣の与作どん、今日はどこさいったべか。

ほ、なに、なに、裏山に木を切りにいったと?

なるほど、音さ、聞こえるべ。

与作はきーを切るーっ♪

トントントンッ、トントントンッ

ほい、いっぱい出来た、ぬか漬けを今日もモリモリたべんべか。


って、誰が朝から、ぬか漬けを漬けるかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ?!


はあ、はあ、はあ、最近、ナビちゃんもおかしいですね。

まあ、気にしないでおきましょうか。

ちょっと疲れました。

少しブレイクタイムを致しましょう。

あ、そうでした。

重大な事を忘れておりました。

あのスキル、1日立てばまた使えるスキル!

ご褒美セットが使なっているんでした。


きゃああーーーーーーーっ、と、いう事で、私のご褒美、ピチピチプリンの召喚です。

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