第25話 ▪▪▪トレーニング?

【今日の言葉】

おうい雲よ。 ゆうゆうと 馬鹿にのんきそうじゃないか。 どこまでゆくんだ ?ずっと 磐城平の方までゆくんか 。


ああ、菜の花さん。

あなたは、何で菜の花なの。

あなたの花言葉は、【小さな幸せ】・快活・快活な愛・競争・希望・活発・元気いっぱい豊かさ・財産 ね。

どれも今の私に似合わないわ。

私の【ちいさな幸せ】は、たった今、無くなったの。

僅かにスプーン3口だったわ。

これも神様の試練かしら。

私の手元に残ったのは6個のプラ▪スプーンと、尼損アマゾンの宅配段ボールだけだわ。

捨てるのに困るわね。

取り敢えず、折り畳んでおきましょう。

燃えるゴミに出さないで、リサイクルの日に出しましょう。


……はぁ、思わず黄昏たそがれてしまいました。

ああ、なんたる厄日やくびでしょう。

今日ほど、子供の涙オネダリが暴力的に感じた事はありません。

私の永遠的好物である、クリコのピチピチプリンが3口しか食べられませんでした。

よく従姉小学生がこの手を使っていましたね。

苺のショートケーキを実家で食べた時、先に食べ終った 従姉小学生が、私の苺を泣いてオネダリしておりました。

当然私は大人ですから、苺は上げましたよ。

そしたらあの従姉小学生、ケロッと笑って、お礼も言わずに外に遊びに出かけていきました。

いや普通、人から何か貰ったら、お礼は言うべきでしょう?

まあ、この子は言葉は解らないけど、私の分のプリンも上げたら、ちゃんとお辞儀しましたよ。

えらいですねーっ。

はぁ。

まあ、私は大人ですから、いつまでも引きずりません。

身体は一歳でも心は大人ですからね。

こんな小学生低学年しょうがくせいていがくねん相手に、引きずったりする訳無いじゃないですか。

今日の事、一生、エコエコアザラクですけどね。

え?

めちゃくちゃ引きずってるやないかい?

何処の関西弁ですか。

引きずったりしてませんって!

本当ですよ。

はぁ。

あら?

何だか、女の子がモジモジしております。

ああ、食後の運動ですかね。

え、違う?

何、意地悪してるんだって?

してませんよ、そんな事。

はい、はい、わかりましたよ。

待って下さい。


「スキル▪お風呂セット(シャワールーム大きさ変更可能。使う者のサイズに合わせ、自動でサイズアップ)!」


ポンッ


また、ニンジャの煙的なものが出て、目の前に私サイズの個室が出ます。

これ、自由に出し入れ出来るから、プライベートが守られていいですよ。

ヒューリュリ様に匂いを嗅がれた時は、どうしてやろうかと思いましたもの。

一瞬、仁王におうになりましたね。

においだけに。

くだらない?

そうですか。

あ、ところでコレお風呂セット、サイズ違いの者が使うのは初めてですね。

本当にサイズアップするのでしょうか。

ちょっと心配ですが、とにかく女の子がヤバそうなので、此方に誘導してみましょう。

はーい、こっち、こっち、私は今、手招きしております。

分かるかしらね。

あ、お股をモジモジしながら立ち上がりました。

分かってくれたようですね。

何とか、お風呂セットの個室前に来てくれました。

問題はこれからです。

はーい、こっちですよ。

しゃがんで、しゃがんで。

うーん、何だかモビルスーツの誘導員になった気分ですね。

旗と笛が必要ですか。

あらら、中々しゃがんでくれないですね。

ゼスチャーじゃ判らない?

どうしましょ。

仕方ないですね。

羽根を動かして飛び上がります。

はい、女の子の手を取って個室にいざないましょう。

誤解しないで下さい。

百合じゃないですからね。

はい、タッチ、タッチ、個室にタッーチ!

野球じゃないよ♪

はい、触れた!


ギュウウーーーーーンッ


おお、まるでブライシンクロンです。

無機質のボックスルームが、みるみる大きくなっていきます。

女の子が目を丸くしている間に、個室は女の子サイズに早変わり。

自分のスキルながら、常識が通用しません。

ラノベかアニメですね。

あ、ドアの開け方が判らない?

アコーディオン式ですからね。

この世界に無いのかな。

取り敢えず、ゼスチャーです。

1にゼスチャー、2にゼスチャー、3、4が無くて、5にゼスチャー。

はあ、はあ、はあ、何とかトートーに座ってくれました。

いや、疲れました。

全く何も知らない原住民に、1からって、言葉が通じない状況ではキツイです。

息が切れる。

過重労働ですね。

なんだか、社畜時代を思いだしました。

後輩と上司の板挟みで、よく無理難題を押し付けられたものです。


「はあ、やっと終った。今日は久し振りに定時に帰れそう。先週も休日出勤だったし、たまには早く帰ってもいいよね」


『愛原先輩、今日、どうしても早く帰らないといけないんです。でも、この書類、今日十に仕上げなくちゃいけなくて…先輩にお願いしても宜しいですか?』

『愛原君、これ、緊急で明日用意する資料なんだ。作っておいてくれる?』


「え?」


気づいた時には、私のまっサラな机の左右に、アベノハルカスとランドマークが出来てたの。

全く酷い話しでしょ。

今考えるとあの二人、付き合ってたのかしら?

何時も二人で頼みに来ていたのよね。

どっちにしても、ちょっとブラックだったわね。

え、かなりブラック?

そうですか。


ところで女の子とやり取りしていて判ったんですが、もしかして、この世界の科学レベル、水洗式が無い世界なんですかね。

あの子、全くやり方、判らなかったですよ。

とゆう事は、ボットンの世界なのよね。

え、気にするとこ、【そこ】?

【そこ】ってなんですか、【そこ】って。

ボットンはちゃんと、定期的に汲み取りをお願いしないと溢れるんですよ?

溢れたら大変なんだから。

それに、衛生面で不味いんですよ。

放っておいたら、伝染病の発生原因になるんだからね。

馬鹿に出来ないんですよ。

だから、昔からトイレも信仰の対象だったんです。

え、トイレの神様って本当にいる?

いるかどうか判りませんが、信仰されている神様は居ますね。


烏枢沙摩明王うすさまみょうおうという神様です。

密教における明王の一尊で「烏枢瑟摩」「烏蒭沙摩」「烏瑟娑摩」「烏枢沙摩」とも表記されます。

真言宗・天台宗・禅宗・日蓮宗などの諸宗派で信仰され、台密では五大明王の一尊です。

世の中の汚いものを全て焼き尽くす火神ということから、きれい好きの明王さま、トイレの神さま、ということになったようですね。

何だか納得です。


ところでスキル▪お風呂セット(シャワールーム大きさ変更可能。使う者のサイズに合わせ、自動でサイズアップ)で女の子用になったら、6畳の花畑だと、ど真ん中にシャワールームがある景観になっております。

何だか『シャワールーム花畑』みたいです。

これでは文字通り【お花摘みに行く】、ですね。

非常に宜しくないので、ちょっと変えてみましょうか。

ああでも、またあの白鳥の湖的踊りをしなければならないのね。

はぁ、かなりの過重労働ですが仕方ありません。

やってやりましょう。


タンッタン、タタタン、タンタンタン

タンッタン、タタタン、タンタンタン

「空と大地の精霊よ、私に力を下さいな。風の精霊、冬の精霊、今だけお鎮まり下さいな。春の精霊、光の精霊、私と楽しく踊りましょ。妖精女王、ティターニアの盟約により、世界の力を今ここに!」


私は目をつむり、シャワールームを中心にして、大地に両手をかざします。

あらわれよ!【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】!!!」


サアアアアッ


雪雲の隙間すきまから、おさまの光が、スポットライトで私を照らします。

私の羽根が輝いて、大地に、おさま届けます。


キィィーンッ


やりました。

直径50メートルの円状の【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】です。

大きく円状に、雪の無い地面が拡がりました。



でもこれ、もう【小さな】ではないのでは?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る