第17話

▩オルデアン視点


「う、あ、ああ!?あ、暖かい、ここは?」


私が目を開けると、周りは黄色いお花で一杯でした。

とっても綺麗で、とっても良い匂いです。

私、神さまにされてしまったのでしょうか。

皇国でも、こんなお花は見た事がありません。

皇国のお花は皆、薬草に使われるお花なんですが、匂いが酷いし、黒か灰色のお花しかありません。

それに、本来は毒草なので、長く側に居るのは危険なんです。

ああ、なんて、なんて素敵なところなの。

お母様と、お父様にお見せしたい。

こんな幸せな事が起きるなんて、信じられないわ。

テリア、テリアは何処?

アルタクス!


「ああ、まるで、お花の国。皆に見せてあげたい!」



◆◆◆



▩カーナ▪アイーハ視点


どーも、相変わらず、草葉くさばの陰から見守っているカーナ▪アイーハです。


死んでませんよ、生きてますから!


女の子は無事、意識を取り戻した様です。

私が蒔いた菜の花に、あんなに感動してくれるなんて、まったく嬉しい限りです。

お礼に、菜の花の❪おひたし❫を作ってあげないといけませんね。

しかし金髪、碧眼、色白で可愛い子です。

けれど着ているドレスは豪華過ぎて、何だか重そうです。

多分、さかさになったら、起き上がれなくなる口ですね。

ところで女の子が、お腹をさすりだしました。

どうしたんでしょうか。


グ~ッ


あ、分かりました。

お腹が減ったようです。

お腹の音がしましたから、間違いありません。

どうしましょうか。

菜の花はそのまま食べられるんですが、多分、あの子は知らないでしょう。

はい?菜の花は生食は無理だろうって?

あらあらあら、そこのあなた、ちょっとそれは勿体ないですよ。

確かに菜の花は、一見、茹でないと固いし、ちょっと苦味がありそうに見えますよね。

ちっちっちっ、実はですね。

採れたての菜の花は、苦いどころか、ほんのり甘味を感じるのです。

普通にレタス感覚で、十分いけますよ。

確かに菜の花は❪おひたし❫が王道ですが、マヨラーの私は、やはりじかマヨが定番でしょう。

あ、ちょっと忠告を。

基本、菜の花の生食は、花が咲く前の蕾の状態が良いですよ。

花が咲ききってしまったものは、やはりエグ味や苦味が増してきますので、そうなりますと、1度、茹でた方が良いでしょう。

あと、菜の花は『なばな』とも呼ばれ、アブラナ科の総称です。

だから、春に『なばな』をつける野菜は、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ケール、白菜、ルッコラ、大根、わさび、クレソンなど。

その他に菜種油用などがあり、春に河川敷に沢山生えるのも、アブラナ科。

勿論、食べられますが、野外のは汚れや、葉が黄色いものが近くにありましたら、除草剤を使われている恐れがありますので、無闇な採取はおすすめいたしません。

それと、勝手に他人の土地に入っての採取は止めましょう。

は?

ああ、また自分の世界に入っていたようです。

今の問題は、あの子がおなかを空かせているという事なんですよね。

さて、どうしましょうか。

取り敢えず、漫画肉を渡します?

それとも、お魚の方が良いでしょうか。

ん、迷うくらいなら、全部出しておきましょう。

お皿はどうしましょうか。

ヒューリュリ様の時は、違和感なく路地置きしましたが、さすがに女の子に同じく餌感覚はバッチイし、失礼この上ないですね。

私用のお皿はありますが、小さいから一皿に、沢山乗せられません。

お皿の数も、8枚しかないんです。

何回、数えても8枚。

いちまーい、にまーい、さんまーい、よんまーい、ごまーい、ろくまーい、ななまーい、はちまーい、きゅうまーい。

ほらね、8枚でしょ?

え、違う?

9枚あった?

そんな訳、あるわけないじゃないですか。

だって9枚あったら、盤上皿屋敷ですよ。

うらめしやーっ。

あれ?そういえば、なんで幽霊は『うらめしや』なんですかね?

裏飯屋ですか?

幽霊はいつも、お腹が空いてるんですね。

え?そんな事、どうだっていい?

ごもっとも。

まあ、取り敢えず、8枚でも、9枚でも、全部のお皿を使って、ご飯を出せばいいですか。

足らなければ、何回も出してあげれば良いんですからね。

そうしましょう。

あ、一つ問題が。

私の姿を晒さずに、どうやって料理をだすかです。

8皿、9皿を出すなんて、隠れながらなんて無理ですよ。

困りました。

ヒューリュリ様との約束ですし、無下むげにする事もできません。

かと言って、あの女の子の状態を放置する事は、私の心情的にあり得ません。

あ、いい事を考えつきました。

黒子感覚で❪居ない者❫を装い、堂々と出せばいいのです。

ええと、葉っぱで顔を隠して、葉っぱを身体に巻けばいいですかね?

こうやって巻いて、ありゃ、上手くいかないな。

ありゃりゃ、身動きが、ああ、パタンッ

倒れちゃいました。

なんか芋虫状態です。

はあ、困りました。

こうなったら、でんでん虫虫、カタツムリ、お前の頭は何処にあるーっ、手が出る、足が出る、頭出る、です。

むむむ、でぇええーいです。

ズボッ、ズボッ、ズボッ

やりました。

なんか、お話しに出てくるコルボックルみたいですけど、まあ、羽根も隠れてますし、顔も分からないから、黒子として通用するでしょう。

おっと、これでは前が見えません。

ちゃんと目の穴を作りましょう。

えいっ、ズボ、ズボ

完璧です。

これで何処から見ても、黒子です。

緑子?

まあ、いいのです。

ヒューリュリ様との約束を、守れればいいのですから。

では、さっそく、お皿に漫画肉、お魚、お野菜、ご飯、御味御汁、漫画肉、お魚、お野菜、ご飯と、あら、9皿に盛れました。

まさに裏飯屋です。

ご飯が冷える前に、どんどん出してまいりましょう。

テキパキ、テキパキ、テキパキ、テキパキ、テキパキ、テキパキ、テキパキ、テキパキ、テキパキ。

はい、女の子の顔を見ずに、女の子の前にお皿を置いて参りました。

女の子は…あら、食べませんね?

なんだか、身体を硬直させているようです。

いけませんね。

あ、わかりました。

お箸やフォークを出し忘れておりましたね。

私ったら、ほんとに忘れんぼになっちゃいました。

困ったものです。

私は、直ぐにテキパキして、女の子の前に出して参りました。

さて、どうでしょうか。

あら、女の子は私の方を目を丸くして見ております。

私の背後に何か、居ますかね?

と、後ろを振り返るも、あるのは菜の花の林だけです。

もしかしたら、霊感がある子かもしれません。

お菊さんでしょうか。

それとも、貞子さんでしょうか。

なんか番組が違う気がしますが、そこはご 愛嬌あいきょうですかね。

けれど、急に食欲が無くなるなんて、あり得ません。

んーっ、どうしましょうか。

あ、肝心なものを忘れておりました。

サラダに何も付けてはおりません。

サラダとくれば、マヨラーの私の出番です。

さっそく、マヨネーズを亜空間収納から取り出して、女の子のサラダに掛けていきます。

美味しいですよーっ

さあ、召し上がれ。


因みに今の私のステイタス、こうなっております。

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名前▪▪▶カーナ▪アイーハ(異世界転生者)

レベル▪▶8(?)

種族▪▪▶花妖精(新種族)

羽根▪▪▶銅色

容姿▪▪▶金髪▪碧眼▪白い肌▪長耳

衣服▪▪▶春のワンピース(淡ピンク)

性別▪▪▶女

年齢▪▪▶1歳(寿命未設定)

身長▪▪▶10cm

体重▪▪▶秘密

バスト▪▶絶壁(成長次第)

ウエスト▶これから(さあ?)

ヒップ▪▶まだまだ(ガンバ)

特技▪▪▶タンバリン応援(?)

スキル▪▶亜空間収納

スキル▪▶銅鱗粉【成育空間システム化】

スキル▪▶種▪球根召喚

スキル▪▶【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】直径5m(統合化▪数m以内のサンクチュアリを統合出来ます)

スキル▪▶お風呂セット(シャワールーム大きさ変更可能。使う者のサイズに合わせ、自動でサイズアップ)

スキル▪▶テイマー

従魔▪▪▶聖獣フェンリル(個体名ヒューリュリ)

召喚可能▶ガーベラ◇チューリップ◇オオイヌノフグリ◇フリージア◇エーデルワイス◇菜の花◇ヒヤシンスの球根

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