第5話 気分で呑むお酒はワンカップ
今日の私は宅飲み気分。
ため息混じりに呑むお酒は、ワンカップ。こんな気分の時はこれが良い。
このお酒にはどんなグラスが合うかしら?とか考える必要がないお酒。それがワンカップ。完成されたフォルムのお酒に合うのは、あたりめ。しょっぱくて固い歯応えに、お酒も進む。
黄金崎のクソめ。
いやいや、私もね。あのスーツ選びのセンスの良さに騙されていました。今、思うとそこが失敗。
水曜日は絶対定時とか?ヒント落としすぎでしょ?そこで浮気してますよ〜って、公言してるもんじゃない?しかもさ、帰って着替えてすぐ出かけるとか、クソでしょ?下手か⁉︎って突っ込む所よね?
しかも相手が、ビルの受付嬢。色気のある女の方。
あれから一応調べたけど、二人の連絡方法はアイコンタクトだった。毎週水曜日に受付嬢が、黄金崎にウィンクしたら今日はOK。しなかったらNG。待ち合わせはいつも同じワインバー。その後は、ラブホテル。
つまらん!なんて分かりやすい浮気‼︎興信所入ったら一発でバレるわ!アホか‼︎
イラだつ気持ちを押さえるために、あたりめをガチリと噛んで、ぐっと引き裂いた。そしてぐいっとワンカップを口に含み、プハっとお酒くさい息を吐く。
「まぁ、こんな時もあるわよね」
独りごちるとなんだか少しスッキリした。いつまでも怒っていても先に進めない。次に行こう!
タブレットとスマホから、黄金崎の情報を全て削除する。分かってしまえば興味はない。個人情報保護の為にも消してあげるよう。
だって私は浮気探偵(仮)だから。趣味で浮気をしてる人を探るだけの悪趣味な人間だから。
さて、あの会社であと11ヶ月どう過ごそうかしら?
タブレットを覗くと、次のターゲットの情報が浮かび上がる。まだまだ楽しめそうね。
黄金崎、あなたの浮気のレベルは低かったけど、良いターゲットを教えてくれたのだけは感謝するわ。
次のターゲットは受付嬢の、
さぁ、明日から楽しみだわ!
私はぐいっとワンカップを飲み干した。
浮気探偵(仮) 清水柚木 @yuzuki_shimizu
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