重厚な物語を軽快に楽しめる、それこそが本作の大きな魅力だ。

重めのストーリーが好みだが、そういった作品は目が滑りやすい、そんな方は多くいるのではないだろうか。
かくいう私もまさにそれ。これまで多くの作品で何度となく読み直しさせられてきた。

翻って本作はどうか。
現代ミリタリーに然程興味がなかった私ですらするっと入れてしまう軽妙な語り口。
にもかかわらず、物語それ自体は重めのリアルな戦争、紛争もの。
そしてもし自分が軍人であったなら、この主人公のような人生は実に楽しそうだと思わせてくれる英雄性。
まぁ、現実なら自分は真っ先に死ぬ役目であろうが。

句読点の使い方に若干の個性が感じられるが、なに、気にすることはない。
一度物語に入ってしまえばそのような事は些事である。

だが一つだけ、これから読もうという諸兄に注意せねばならない。
重厚で軽妙ということはつまり、時間を忘れてしまうということに他ならない。
間違っても昼休憩に1話だけ、などという愚行は慎むべきだ。
気づいた時には君の休憩時間はもう無いのだから。

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