結論と"救い"の代償

会議室の空気は悪循環で非常に重い、そんな最中でロキが扉を開けて入る。



「ルーク、貴様の意思は我々が尊重する」

「ロキ!?」

「ベルゼック、彼はである。無理に強いるのは無難だ、それに彼の結論は今いるこの三人を守る為の最前策だ」



ベルゼックは終始怒りを抑えた、それは俺が入れば兵力が上がるだからだろう。

その計算にロキは気付いていたんだろう、仮契約書にはロキ自らサインした。



「我々が彼らを保証する、だから貴様らは我を守る兵となってもらおう」

「流石一筋縄では行かんか、いいだろうその話に乗って我々も彼らを保証しよう。だが、もしダメであれば撤退させてもらうぞ」

「構わん、我は誰だと思う? 」

「ふん、神に直するものだからっていい気になるなよ」

「ほう? ならば貴様ら達で――――」



ベルゼックとロキは睨み合う、どうやら仲の良さはあまり良くは無い。口論になり作戦もへったくれもない。

何故ベルゼックを呼んだのかはさておき、カタカタとさっきから揺れてる。

地響きが耳を塞ぐようになり始めて、俺は偏頭痛が起る。



俺以外の人達は特に異変に気づかない、これはどうゆうことだろう。

だけどこうゆう時はに違いない――――。




ゴゴゴゴゴゴ―――――。




揺れが激しくなり、立って居られなくなる。

ものが転がり、なにかにしがみつくだけでせいっぱいであり。それが約数分間続いておさまる。




「皆よ外に出るぞ」



ロキの一声で俺達は宮殿の外へと出ると、世界樹の根が黒く異変していた。

そして、天高く枯れ木を折るようなバキバキっと音が鳴り宮殿前にある噴水に何かが落ちた。

高い水飛沫、俺達はその姿を見るまで息を飲んだ。




「久しいなぁ? この感覚――――。そうか、ルークお前か」



禍々しい形をした両手剣を引き抜き、変わらず軽装着姿の父――――。



「親父――――!」



俺はそう口にすると、変わらずの笑みを浮かべてこう言った。



「なんだぁ? 少し背が伸びただけで変わらず痩せてんな? 飯食ってんのか? まぁ、俺の息子だからよ。 元気出いるのは当たり前か、 ガハハ――――!!」



俺は悲しみを堪えながらこう強い口調で言い放った。




「何バカみたく笑ってんだよ!! 今の状況どうなってんのか分かってんのかよ!? なんで魔王なんかになってんだよっ! 全ての悪を滅するんじゃなかったのかよ!!」



父の笑みは静かに消えた、そして腕を組んで静かに言った。



「あの時、俺はたしかに死んだ。お前を目の前にしてな。 だが、これはゾアークの過ちによる"償い"さ。こうでもしなきゃこの魔王―――ゾアークデーモンの魂は消えねぇんだ。こいつを寄生されちまったからにはもう人には戻れねぇよ。これが俺の運命だ」




俺は口を閉ざした、握り拳を強く握りしめた。すると、ロキが俺の前に現れて口を開く。



「英雄アルト、貴様に仮はある。討伐される事に異論はあるまいな?」

「あぁ、だが。一つだけ、ルーク」

「――――。なんだよ」

「母さん達を任せる」



俺は静かに背に備えてる、両手剣を握りしめて地を走った。



「いかん!」

「待てルーク!!」



そんな声を、俺は無視して父に振り抜いた。

だが、刃が刺さらなず空振りする。



―――――このっ!



幾度なく俺は振り回したが、やはり当たらない。感触はツルツルした表面をただ振り抜いてる感じて刃が受け流される。



「ルーク、歯を食いしばれ」



父はそう言って拳を作り、俺の腹部に重い一撃を放った。

鈍器が腹部で殴られた様に全身が軋みくの字になり、そのまま身体と意識も。次に意識が戻ると全身は激痛、宮殿の壁にめり込んでいた。




「そこで見てろ、この世界を滅ぶ姿を! 安心するといい、殺しはしないがいたぶってやろう」



あぁ、身体が限界だろうに――――。

俺の身体は動いてしまう――――。



ゆっくりと、腕を動かして壁から地面に降りる。額から生暖かい赤い雫が不規則に滴る。

軋む身体をゆっくりと起こして立ち上がる、突き刺さった両手剣に目を向けずに俺はフラフラしながら立ち止まった。



「またまやるのか?」

「へ、父は父だけど。何割か意識失ってやがるな。まぁいいどちらにしろ――――



ルークから青白いオーラが吹き上がる、流石に父も驚く表情を浮かべた。



「ルーク、まさか?!」



フィリスはルークの元へ走るが、ロキに腕を掴まれて止まる。



「離して!」

「貴様も巻き込まれたいのか!?」

「ルークを止めなきゃ! 止めなきゃ記憶消失メモリロストするわ!!」

「「―――――!?」」



誰もが俺を止めに入ろうと走るが、全てがゆっくりと進んでくる姿―――――。

フィリスの姿を見た時に、俺は変わらぬ笑顔でいよう―――――。




「ルーク貴様!? 正気か!!」

「あぁ、正気のさ。 全ての死は来るものだメメントモリ――――」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る