仮ギルド名"魔王討伐隊"
時間の猶予はあまりない中、ロキに案内された王宮内―――。
大理石の作りで何年かかって作り上げたのか分からないほど綺麗で滑らかな床である。
まるで鏡のような床、人の歩く姿すら映す輝きは働いている下級メイド達かな。
専属メイド、一般メイド、下級メイドと三つのランクがある。
主に雑用が下級メイドで、一般メイドは来客の接客や調理で、専属となると主を守る戦う系メイドやらマネージャーの様な存在など多様性である。
当然、ロキの背後に二名のメイドが立って居るがこれが一般メイドである。
「領土様お帰りなさいませ、あら? ご友人ですか?」
「例の話に出てた彼らだ、会議室を使いたいから案内してやってくれ」
「なるほど、英雄の息子様一行ですか。分かりました」
一人の可憐な少女が、俺達の前に現れて静かに一礼して「では、私がご案内致します」っと緩い口調でそう言った。
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「にしてもすごいよなここ」
「大間ホールです、ここでは身分が偉い方々が社交ダンスする場なっております。冬の季節には特に賑わいますわ」
「へぇー、私達には無縁な世界だわ」
「お嬢さん、少なくてもここのロキの宮殿に入れただけでも凄いことなんですよ」
「と、いいますと?」
「ここは、一般は立ち入れない。身分がないとまず招かれる事すらないです。貴方はロキ様に認められたのでここへ案内されたのです」
するとフェイはあることをこう口にする。
「執事は何処にいるのかな?」
メイドはピタっと歩足を止めて後ろを振り返り、人差し指をフェイの口元に置いて一言。
「お嬢さん、知らなくていい世界はあるのです」
メイドはクルッと一回転して、再び歩きだした。フェイは首を傾げて不思議そうな顔を浮かべているって感じだ。
何やら意味深そうであるが、今は触れずにいよう。
さて、メイドに付いていくまま約数分、中央の階段を登り二階フロア。個室の扉が沢山あるが気にもとめずに、その通路を真っ直ぐ行き突き当たりの扉で立ち止まる。木面に謎に掘られた彫刻絵の扉をメイドはコンコンっと二回ノックする。
「誰だ?」
少しばかり老人の様な声質の人が、ドアの向こうから飛んだ。
メイドは、静かな口調でこう答えた。
「我が名は
何やら暗号みたいなのを口にしたメイドに、俺はド肝を抜かされた。いや、中二病が合言葉なんて誰が思うんだ。
「よろしい」
それでいいの!? 大丈夫なのかここの人々!? っと口から出かけた言葉を飲み込み抑えた。
メイドは扉を開けて中に入ると、環状の座席に一人の眼帯をした白髪混じりの軍服を着た老人が一人座っていた。
「英雄の息子とそのご友人達、初めまして私は――――ベルゼック・ゼルク二世。ベルゼックと呼んで欲しい」
淡々と自己紹介をしたベルゼックだが、その名を聞いて驚くフェイ達である。俺だけがノーリアクションで浮いているのだ。
どうやら有名な人ってのは分かるが、具体的には分からないのだ。
なので俺はフィリスに耳元でコソッと訊ねた。
「なぁ、フィリスあの爺さん誰だ?」
「ルーク本当に勉強してたのかしら?」
「し、シテタヨ多分」
「はぁ、あの人はギルドをこの世界の統括する言わば"創設者"で軍人の中では右に出る人が居ないと言われてるほどの実力があるわよ」
「ん、まぁ凄さはわかったけどそんな驚く必要あるのか?」
「バカね、一度耳にしたことあるでしょ? "第六師団パーサックキラー"または"反逆の硝煙"」
確か正式で"世界連合第六師団"で、魔王軍と引きに取らない指揮で街一つ救ったって話か。
"第六師団パーサックキラー"は脳筋で"反逆の硝煙"はその時に起きた"帝国軍殲滅戦"で寝返った時にそう称された。
ある意味
「さて、長話もアレだ。座ってくれ」
ベルゼックに言われた通りに一人一人椅子に座り、目の前に置かれてる書類に目を通す。
「話は聞いている、君たちはあの新魔王。つまりルーク君の父親を討伐する、彼を倒すとしたら我々のギルドに所属しなければならない。今目にしてるのは仮契約書だ」
だが、俺はその書類を投げ捨てる様に置いた。
「ルーク?」
「ギルドに所属するなら、俺なんかより
「どうゆう意味だね?」
「俺は親父と蹴りつける、英雄気取りに一発殴らなきゃ気が済まない」
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