変態王と街の領主がやってきます
それから色々話し合って一夜明かした。
翌朝の未明、俺はいち早く目覚めた。
濃い霧で視界は悪い、仲間達の寝てる姿はちゃんと見えてる。のに何だこの違和感は。
「お目覚めかぃ?」
「誰だ!?」
不意に飛んでくる声、霧の中から人影、ゆっくりとこちらに近づいてくる。 姿を現したのはエルフと思われる耳に王冠を被った美形な青年だ。
「君に話があって来たんだ。なぁに悪いことはしないさ。ひっひっひ」
「初見だが、俺は君と対話する気ないぞ」
「おやおやおやおや???」
「喋り方が既に変態だしな」
「変態? いやはや、それを隠さずにバレてしまったのは仕方がない」
「そこ否定するところじゃね?」
「なんせ、俺は――――男を食べ―――ぐはっ!?」
何やら蹴飛ばされた、次に現れたのは槍を持った青年だ。
「汚すな我が領域内で認めんぞ、妖精王オベンジョ」
「誰がオベンジョだ!? 大体、毎回君が僕の邪魔ばかりするからそんな変な名前が生まれるんだ!!」
「通称名が変態王または、性剣便所カバー」
「通称名が異端児じゃないか!!」
「まぁいい、貴様よりあの少年に用がある」
槍を持つ青年――――気配が物凄い。
殺意とは違う、明らかに異端なクラスの魔力を感じる。誰なんだこいつ!?
「単直入刀に訊くが、貴様は神を嫌い殺す者か?」
青年の訊ねに、俺はこう答える。
「あぁ、その為に強くなってるんだ。神は俺が生きていた世界を滅ぼしたんだ」
青年はしばし口を閉ざした、代わりに変態王がこう言ってくる。
「まて!? 誰が変態王だ!! ったく、どの人も口揃えて"変態王"って呼ぶ。僕は悲しいよ!! まぁいい、君は何故神に抗うんだ? 全てが"悪"とは限らんだろう」
質問の意味が分からない、そもそも九つの世界の三つの世界が消された。
それを壊して消し去ったのは紛れもない、あのラグナロクだろ。
この世界の脅威は、ラグナロクの世界崩壊。
それを神じゃない何かだって言われたら俺は決して信じないだろう。
静かに俺は右手を翳した、金色に光るオーラが放たれた。
「あれは!?」
「変態王、事態は一刻を争う。やるぞ」
その刹那――――頬を槍が掠り伸ばした右手には両手剣。
「――――まさか武器を呼び寄せるとは、貴様の魔力は人間レベルではないな?」
「ご名答」
振り抜いた俺の一撃は、青年は槍にあたり軽く吹き飛ばされた。
「対等する力があるみたいだね? どうするロキ」
「オーディン様は、必ずやこの少年を仲間にせよっと言われている。やらぬ訳には行かない」
「眠ってる奴らは?」
「死にやしないだろう、君がそれをしたんだろう」
「ま、まぁそうだが、安らぎの安眠――――」
フラっと立ち上がる人影、変態王は拍子抜けの顔を浮かべて驚く。
「な、な、な、なぁぁぁぁ!? 立ち上がれるなんて僕は聞いてないぞ!!?」
悪意に満ちた笑いが響き、赤く光るふ二の目。そう、フィリスである――――。
そういえば、寂し過ぎると何かが爆発して暴走するって言ってたような。
結果的に、獣化するってわけかよ?!
「ひっひっひ、美しい青年ザコ兄さん。今すぐに地を雷に導かせてあ・げ・る」
寒気が過ぎるこれはかなりやばい。
メスガキ風になるけど、媚びてるわけじゃない。煽りと分からせてるまでしてしまう。寂しがり屋とはなんだろうか? って思うがそれは知らなかった事にしよう。
「貴様、余所見する暇はないぞ?」
振り抜かれた青年の槍、俺は蒼大剣を振り抜き火花を散らして弾いた。
更に雷の槍を作り出して俺に向かって弾丸の様に飛ばした。
蒼大剣を両手に握り締めて深く息を吸う―――。
父あの技を小さい頃よく見様見真似で練習していたが、改めてやってみようか。
チリ――――。
空気中の水分が蒸発して、辺りの枯葉は燃える。
チリチリッ――――。
身を焦がすような熱い炎が身に宿る。
そして俺は息を吐くように、蒼大剣を振り抜いた。
「
地を走る様に放たれた蒼い炎は、青年の放った雷の槍を焦がした。
驚く青年は、燃え上がる蒼い炎から回避する様に飛び上がる。
「蒼い炎だと? 普通は赤いものだが、高温を示す青さ―――――。やはりオーディン貴様の目の狂いはなかったな。こやつは我々と同等な強さだ――――」
地を蹴飛ばして俺は音速並の速さで青年の眼前に姿を現した。
「なっ!?」
「悪いけど、俺達には時間が無いんだ。少し眠って貰う――――!!」
俺は青年の顔に左手を翳して言い放つ。
「
青年は白い衝撃波をゼロ距離で受け止め虚空を回転して港の時計台に激突した。
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