霧から逃れて
バハムートの背に乗り石化病から逃げる様にアールズヘルムへ向かう最中で見た地上は灰色化していた。
「これは、十年前より規模がデカイな」
「洒落にならないところまで来ている、貴様達の仲間は偶然我が通りかかって助けて数名。あとは石化病にやられていたな」
「確か、十数名居たよな全員合わせて」
「それが、数名だけって――――」
「事態が事態だ、我が向かう場所へ石化病に陥れるつもりか」
バハムートの視界の先は石化の霧が壁を作る。少しばかり上空へ方角を変える、雲を切り抜けて空を滑るように飛ぶ。
「少しばかり飛ばす。舌を噛むから口を閉めとけ」
猛烈なスピードで駆け抜ける、新幹線より速い。風圧で耳を塞ぎ、歩きを数時間かかる道のりを数分でアールズヘルム上空に到達する。俺は地上を見下ろすと、灰色の霧が充満していた。石化病の一種だろう離陸はかなりまずい。するとバハムートが一言。
「飛び込め」
と、飛び込めだと?! 馬鹿言うな上空数百メートルから飛び降りろだと?!
数秒で散る命じゃないか!! っと思っていると背鰭に何やらバックみたいなのがあった。
チャックを開けると、怪しく光る瓶が二つあるこれはなんだろうか?
「ポーションだ、もしもあったら回復できる」
「いやいや!? ライフルゲージあったとしたら全損する!!」
「大丈夫だ、全身骨折だけで済む」
「そんな痛いのだけは嫌だ!!?」
「ルークさん、これ"抵抗反発薬"ですよ」
抵抗反発薬とは、身体に重力を与える衝撃を反発させて相殺するって奴だ。
飲んで服用じゃないので、飲んで高い頃からジャンプして地上に着地したら空の方に行くと思ってください。
なので"飲まないでください"と"混ぜたら危険"っと瓶の蓋に
「着地する前に投げなきゃダメな感じかってソラそんなくっつくなよ」
ソラが腕に絡みつくようにくっつく、二つの柔らかいものが挟まる。
とゆうか涙目でちょっと震えている。
「もしかして、怖いのかソラ?」
「そ、そんなことはにゃい。あ、ち、違いますぅ!こ、これは武者震いでふっ!」
めちゃくちゃ舌噛んでるじゃん!? 可愛いさアップしてるが、とりあえずこの時はこうするしかないか。
「ひゃい!?」
「お姫様抱っこするしかない、少し我慢してくれ」
ソラの顔は真っ赤になり「ぶしゅー」っと小さく呟き気絶する。
「ルーク、貴様意外と隅に置けないな」
「これは仕方がなくだ! 他意はないし、それに気絶してる方が一番さ」
「所でどう落ちるつもりだ? 両手ふさがってて使えないだろ」
「あ」
「バカはやはり馬鹿だな」
「そう言うバハムート、こんな霧の中で落ちたら石化するだろ」
「あ」
「――――飛龍もボケるんだな」
「貴様にだけに言われたくない!」
バハムートは場所を移して、アールスヘルムから離れた港付近に数分のフライトして着陸する。ソラを抱えたまま背から飛び降りた俺は、アールスヘルムの方を見ると怪しい灰色の煙が舞い上がっていた。
「やべぇな、こりゃ帰れないや」
「我は、ゆくぞ」
「何処へ?」
「主であるフィリスにだ。頼まれ事は終わったのでな」
そう言ってバハムートは空高く飛び上がり、東の方へと飛び立った。
俺はソラを地面に寝かせて頭を軽く描いた。
さて、どうしたもんか武器置いてきてしまったしな。ありがちな話、フラグ回収するんであればゴブリン出てきそうだな。
「やぁ」
「!?」
心臓くり抜かれるかと思うぐらい不意に声が飛んだ。振り返ると誰もおらずで首を傾げた俺に再び声が飛ぶ。
「下だよ下! 僕はゴブリン、小ぶりなゴブリン。君達はなんでここにいるの?」
下って聞こえたので、目線降ろすと小さな緑色の生物がいた。これがゴブリン。
この世界は実を言うと人種以外に、エルフやスプリンガンの妖精族。
天使や女神などは神族、ドワーフや巨人などは巨人族。ゴブリンやサラマンダーは亜種族
龍や飛龍など空や大陸に住み着く主は神龍族で、霊峰などに住み着く鳥類は神鳥族。
因みにサッキュッパスとか見た目が人間で悪魔の場合も亜種族で、悪魔はデーモンみたいな古典的な悪魔が悪魔族。
「アールスヘルムが石化病が流行りだしたから逃げたのさ」
「石化病? 僕よくしらないけど、かなりやばいんだね」
「他人事見たく言ってるけど、お前達もかなりやばいからな」
「え?」
「見えるか分からないけど、あの霧を吸い込むだけで石化するからな」
「石になっても美味しくないよ?」
「お前を食べても美味しくないのは分かる」
「ひどい!?」
そして俺はゴブリンにある事を訊ねる。
「親分と会わせてくれないか?」
「親分に? んー」
「難しいか?」
「いやできるけど、縄張りには君達入れない。だから、側近兵長呼んでくる」
そう言ってゴブリンはとてとてと茂みの奥へと歩いていった。
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