襲来の"謎の生物"
学園のとある小さな倉庫、部活帰りの生徒達はあと片付けに追われる夕方。
サボり魔である男子学生二名は、校舎裏でのんびりと雑談していた。
「なぁ? 今日はどっか行かねぇ?」
「バカ、学園の非常事態だろ? んな余裕ぶっかませねぇよ」
「そういや、謎の生物ってなんだ?」
「さぁ?」
「未確認生物って言われても、ヨツンヘイムは大体は―――」
ポタ、ポタポタ。
生暖かい雫が肩に不規則に落ちた。
「なんだぁ? こんな所で雨なん―――」
白い体をした目がない、不気味なその姿は誰もが凍りつき唖然とする。
「う、うぁぁぁぁ!!!」
「な、なんだコイツ!!」
モンスターなのか、なんなのかさえ分からない。未知なその存在は、容赦なく捕食するのだった。
模擬実戦から三日後の翌朝、学生が活気づく朝なのにやけに静かだ。 ルークはリングを指に嵌めてウィンドウを開くと通知がびっしり九十九件、カンストされていた。
「何が起きた? こんなのありえないだろ」
ただ事じゃないのはわかる、機械的女性声が不意に飛ぶ。
《あ、ルーク様!!》
「アスタってなんか通知に埋もれてる?!」
《起きてから開くまで遅すぎます》
「何があったんだよ?」
《実はですね――――》
アスタから聞く話だと、学園内に未知な生物が確認されたらしい。想定より早くて何人か犠牲が出てしまい急遽今日は休みになったらしい。
《あと、コルネ様とユズ様からメール受け取ってます。ご覧になりますか?》
「あぁ、頼む」
《了解です》
コルネからのメッセージはこう書かれていた。
"あんた、まだ寝てるの? 謎の生物を倒すなら力貸してもい、いんだからね!? だ、だから私を誘いなさい!!"
なにやら、ツンデレメッセージ。
対してユズは―――。
"もし戦うなら私もお願いします。コルネの魔力があれば色々出来ますので"
かなり短い文である、分かりやすくていい。
つまり、戦いたいというわけである。
コンコン。
ドアノック、ルークは扉を開くとサテラが立っており中に入ってくる。
「サテラ?」
「単刀直入で言うわね。未生物が発見されたわ。今すぐ武装して付いて来て欲しい」
「どこに?」
「中庭よ、コルネとユズも来るわ」
「バレットと、シルヴィアは?」
「あの二人には別の場所任せてるわ」
――――中庭――――
雪が降り身を引き締める寒さである。
視界の先は、戦う生徒。だが、やはり貴族だけが激しく戦い平民は周りの警戒だけだ。
この流れだと崩れてしまうのも時間の問題となる。
「ただ暴れてるな、平民巻き込んでも構わないって感じだな」
「えぇ、だからこそ一年生がやるべきよ。今のこの前線は動きがバラバラ、けど君達なら昨日の実戦を思い出せば簡単よ」
「出来なくはないな」
「よし、なら始めるわよ作戦」
「「了解」」
ルーク達は前線へ踏み入る、謎の生物は殺しても蘇り疲弊する貴族達を平民は鼻で笑う感じである。
「あ、貴方達!? 何しに来たのですの!?」
「あんた達には倒せない。下がってろ」
ルークはそう言い残し、謎の生物に向かって走って行く。
「な、なにを!? 平民が我々に楯突くのか?」
「ふん、何時までそんな事を言っている」
「あ、貴方様は―――フォード様!?」
「平民も貴族もそんな事言ってる場合か? 考えてみろ、今―――この戦いに勝つのは互いの力だ。奴はそれを教えてくれた」
「し、しかし!?」
「それが出来ぬのならば、そこで指でも齧って眺めとけ――――俺は行くぞ!!」
ルークは、謎の生物を切り蹴飛ばす。
だが、減らないむしろ増えていた。
「なんだコイツら?!」
「ルーク、そこどけて!!」
ルークが避けた瞬間、真横から電撃波が通過して謎の生物に直撃してバリバリと音を鳴らした。
「うおっ!!?」
「危なかったわね、けどコイツらホントなんなんだろう?」
「俺のライフル三個分削れた」
「なんなのよそれ!?」
「危なさと敵の危険度」
「意味わからない!!」
「ですが、このままでは間違いなくまずいですね」
背中合わせするルーク達、見渡す限り謎の生物だらけだ。謎の生物は数を増しており、倒すほど増える様だ。
「先制攻撃するわ!」
「までコルネ先陣切るな!!」
コルネはルークの声が届いてない、謎の生物に向かって飛び上がり拳を振り抜く体勢だ。
「このっ!!」
「マスターいけません!!」
ユズも言うが時遅く、コルネは一匹に剛撃放つが、近くにいた一匹目に叩きつけられてしまう。ユズが助けに向かうと謎の生物が阻む。
「マスター!! そこをどけてください!!」
ルークは謎の生物に向かって双剣を振り抜きけ蹴飛ばした。
「ルーク?!」
「早く行け!!」
「はい!!」
謎の生物は今度はルークに狙いを定める。
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