実力差
俺は無数の弾丸を躱しながら、バレットに向かって進むが――――。
追尾型か、これはこれで厄介だな。
背後から追って来る弾丸と、前方から飛んでくる弾丸。回避不可能っと思うだろう? だが、今の俺にはできないことは無い。
二本の剣を握りしめて、高速で振り回した。
切り裂いた弾丸は煙を舞い上がり、バレットは軽く舌打ちした。 視界が悪いと拳銃や弓は射程が分からなくなりタイミングを合わせない限り外れやすくなる。
簡単に言えば的中率が下がるってわけになる。
煙は消えると、俺の姿を捉えたバレットは剣を振り抜いた。――――ニタァ。
そう不気味に笑みを浮かべた俺は、剣の双方を鉄鎖で結び回転させる。
「そんな事しても、逃れられないぞ?」
「バカだなぁ、ただ回してるんじゃねぇよ」
「?」
「見とけよ―――
回した剣から青白く光を放ち、回転する事で一つの楕円が出来上がり投げ飛ばした。
バレットの放った弾丸は、全て投げた武器の方に吸い寄せられていく――――。
「なに?!」
「あとはサービスだ」
床に手を付ける、床から無数の鉄鎖が飛び上がるように天井に向かっていき。
「所詮平民か、何処狙って―――」
天井に接触する前にカクッと方向転換して、バレット目掛けて飛ぶ。
「くっ、こんな鎖ごとき。切り裂いてくれる!!」
バックステップで回避するが、床に突きぬけてまたは跳ね上がりバレットは片手で剣を振り抜き鎖を弾いた――――。
「ふん、こんなものか?」
「そこだ、今だ」
俺は手を握りしめると、鉄鎖はバレットの剣にぐるぐると絡まる。振り抜けなくなる。
「ぐっ!? だが、剣に巻き付いたとしても。我はまだ動け―――」
「逃すかよ!!」
バレットは足元が動かない事に気付く、鉄鎖は剣だけではなく脚にも絡みついていた。
「き、貴様―――!!」
「さぁ、フィナーレだ」
そして、眼前から飛ばされてくる楕円の剣がバレットに直撃した。
――――――ドォン!!
轟音が鳴り響き、砂煙が舞い上がった。
バレットの両サイドには剣の刃、首には歪んだ鉄鎖がネックレスの様にぶら下がる。
「―――――」
このタイミングで、サテラは発言する。
「勝負あり、ルークが手加減してなかったらバレット死んでいたわね」
そんな言葉に、バレットは歯を擦らせて口を開く。
「手加減だと? 貴様、
貴族のプライドが許さないのだろうか? バレットは普段見せない感情が顔に現れている。
クールで冷徹と言われたフォード家、それが今人間らしさを感じる"感情"である。
そんな姿に俺は目を瞑りこう言った。
「なめてなんかいない、ただ俺が全力だしたらはっきりいってこの学園吹き飛ばせるぞ?」
「な、何を言ってるんだ貴様?! それほどの力を何故ぶつけ――――」
俺はゆっくりと歩き、バレットの腹部を軽く振り抜いた。空気が破裂する音と同時に体育館の壁に亀裂が一気に入り込んだ。
「これで満足か? と言っても聞こえちゃいないだろうけど」
バレットは頭を下に向けていた。あの一撃で大岩を腹部に喰らった様なものだ。気絶しない方がおかしい。
「ルーク、手加減した?」
「そりゃな、貴族だから
「ならよし。さて、女子陣はシルヴィアとコルネかユズどちらかね」
ユズは俺の方をただ見つめている、視線をビリビリ感じていた。それを気に食わない表情のコルネは「私が行くわ」っといい立ち上がった。
俺は壁に突き刺さった双剣を抜き取り、バレットを床に寝かせてゆっくり立ち上がる。
何気なくユズが近づいてきて、俺の隣に立ち止まりこう口を開く。
「コルネ大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃないのか、元気そうだしな」
「私はあの人の精霊です。故に心境や体の乱れなど分かるんです。今はああしてますが、万全とは言えないんです」
「そうなのか?」
「はい、普通の体じゃないですから」
「え? それはどうゆう意味―――」
「詮索よりも、実際目で見た方が早いです」
コルネは手に黒いグローブを装着する。ブレザーが光を放ち別の服装に変化する。
魔法少女の様な可愛い感じのフリルのスカートが印象的である。
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