夢のリング

それからしばらくすると、爆乳を揺らす少女がこちらに向かって走って来て俺にこう訊く。


「ねぇ!? 赤い目をしたグレーの髪の毛の人見かけなかった?!」


息を切らせる女性、着てる上着はブレザーは赤色。髪の色はやや赤っぽい二年生である、爆乳って実在するんだな。


「寮の方に向かったぞ」

「ありがとう。もー、何時も危なかしいんだから」

「知り合いなのか?」

「うん、幼馴染なんだ。今日は特に消耗酷そうだから何か食べて欲しかったんだけど、あの人中々食べないからね」


研究室のドアが開く、白衣の小柄少女が出てくる。手には五個のリングを握りしめていた。


「む? フェイ、一年生を誘惑してたのか?」

「ち、違うわよ!? ほら、ギル君見なかった? って聞いたのよ」

「彼奴は、いつも女泣かせだね。フェイなんて毎回の様に泣いてるのを知らずに」

「それ言わない約束だよね!?」

「はて、なんの事やら」

「もー!! ルクスちゃん最低!!」


同級生であるこの二人は、仲がいいのがよく分かるやり取りだ。しばらくしてから、フェイは寮に戻って行った。


「フェイは、何時も気丈に振る舞うが見て通り寂しがり屋。たまにあぁしてやらないと崩れてしまうからな」

「なるほどな、ルクスだっけ?」

「あぁ、私はルクス。それよりもほれ」


手のひらに環状型の五つのリングが置かれた、カラーも様々である。


「サイズは見てわかるが小さいのが女子、二人が男子で女子三名。なんかいやらしい」

「変なこと考えるなよルクス」

「ふむ、青春とはそうでなければな。それと使い方はリング填めれば分かる。ふぁ、眠いから帰るか研究室に」

「寮じゃないのか?」

「科学者だぞ私。寝る時間を惜しむぐらいだからな。それでは」


ルクスは再び研究室に戻って行った、気がつけば日は暮れて夜空の星がチラチラ見えてくる。もちろん、星空のオーロラが見える。


雪国ならではだな。さて、寮に戻るか。



俺は寮に帰って渡された五つのリングを机の上に置いた。男性用リングを眺める。


さて、黒と水色の二色か。俺は黒だよな。


俺は黒色リングを指に填めた、すると視界に映し出されたのは―――ゲーム画面の様なウィンドウだ。



俺が生きていた世界でさえこんな技術は無かった。すげぇ、これが魔法がある世界か!



課題という項目とチャットや教科書が集約されていた。便利すぎて夢しかない。

だが、やはり魔法という項目は灰色。使えないんだろう。するとアナンスが聞こえた。



《スノ―学園の情報がリングされてる非公式リングに接続ありがとうございます。開発者は偉大なアスタ様、私は魔法回線に住むラスタと言います。よろしくお願いします》


自己紹介後、魔法陣からにゅっと出現した全身スノーブルーカラーの少女が現れた。三等身ミニキャラ。


《やぁ、ルクス博士からようやく渡されたんだねリング。って何その「絶対ありえないそんな美人が現れるなんて」的な反応。期待通りむふ―》


拡張現実みたいな昨日まで搭載されている、何この近未来最先端な夢のリング!! っと言う表情をする俺である。


《なんか目からキラキラしたのが飛んでくるわ!?》

「凄すぎてな、それで操作のやり方は?」

《エアータッチです。タッチ画面を想像すれば簡単かな、キーボードも同じです》


俺はラスタに質問を訊ねる。


「君を触るには?」

《え?! だ、ダメですぅ!! お触りは許しません!!》

「反応が可愛いな。ふむふむ、ならこのスキルは?」

《これは、魔法と技を合わせた物を"スキル"って呼びます。今まではどちらかしか出来ないのを両方統一させる事が可能になりました》

「他にスキル何個があるけど?」


《個別によってありますよ、スキル一覧を押すと何個か現れます。ちなみにルークは、採取と鑑定二種類です》

「レベルは?」

《ありません、異世界ゲームは謎が深まり過ぎて意味わからなくなりました。実力で強くなりやがれです》


塩辛コメントアスタちゃん、それが可愛いのかもしれない。ミニキャラはやっぱり悪くないもんだな、とりあえず操作方法は理解出来た。



「教室行く意味あるのかこれ」

《出席日数が少ないと退学ですよ》

「うわぁ、マジか」

《因みにどうやってこんな画面が見れる理由になりますが、そのリングは学園特殊な魔法を飛ばして受信します。魔力結晶体を使われてるこのリングが魔力を供給し続けますので使えなくなることも、遠いエリアや高低差がある場所とか温度差でダメになることもありません》

「神製品過ぎてやばい!!」


この日は、アスタと会話して一夜を明かした。




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