転生までの時間

目を覚ましたら真っ白な視界が埋めていた。


「起きたか?」


聞き覚えがある渋い声、なるほどっと理解した俺はこう返した。


「あぁ、目覚めが悪いな。鳥毛のせいでな」

「もふもふ感満載だろ?」

「真っ白だが?」

「俺の腹で顔を温めてたのさ」

「そうか、ならどけろ!」

「な、何をする貴様!?」


俺はワイルドチキンを鷲掴みして投げ飛ばした――――。チキン野郎は羽をパタパタつかせていたが、運が悪くフィリスの顔にペシッと当たる。


「「あ」」


フィリスは無言でワイルドチキンを両手でがっしり鷲掴みして、満面な殺意ある笑みでこう言った。



「あら? 元気そうじゃない?? 私がどれだけ心配してたか分かってるのかしら???」

「ま、まて!? 俺は悪くないぞ!? 投げたあいつが悪い!!」

「あんたも同罪よっ!!」


ワイルドチキンをフィリスは思いっきり投げる方角は当然俺である。


「俺を受け取ってくれぇぇぇ!!」

「ヤダ」


ペシッと平手垂直に振り叩き落とした、ワイルドチキンは床にビタンっと綺麗な音で叩きつけられる。



「ぬぐぉぉぉ!!? 冷たい床も人も!! 俺の情熱も冷めっちまう! 嫌ァ!!」

「これぞたたきチキン、冷えたら美味いよ」

「上手くねぇよ!!」



俺は改めて身体を見ると包帯をぐるぐる巻きにされており、その上からハートマークのイラスト多数描かれていた。



「なんだこりゃ?」

「無地じゃつまらないから書いたの」

「女の子だなぁ」

「女の子だけど私!!」

「んで、何日眠ってた?」

「二日よ、今日中に異世界転生しなきゃ君は消えるよ」




とゆうわけで、俺は本日中に異世界転生しなきゃならないようだ。 寝てる暇は無いって訳だが、ふむ、身体を洗わなきゃな。チラリ。



「なによ? そのいやらしい眼は?」

「風呂入りたいなって」

「ぶっ!? な、何を言い出すのよ!?」

「一緒に入るとか?」

「変態!! わ、私があんた風呂なんて入らないわよ!!」

「ぶべらっ!?」



寂しがり屋だ女神なのに、ツンデレ半端ない。体の傷が癒えたそれから二時間後、何やら特殊な傷薬が効いたらしい。

因みにフィリスセーラ服に着替えていた、何やら異界の服装が趣味になったとか。



「フィリス、可愛すぎる」

「へあっ!? な、何いきなり!!」

「俺さ、フィリスを奪いたいな」

「へ、変態!!」


ズドン!!



「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」



フィリスはプンプン怒り部屋を抜け出て、俺の大事な股の急所ゴールデンボール――――あぁぁぁぁぁぁ!! 色々大事なセーブデータ消えそうになる激痛がぁぁぁ!!



あぁぁぁぁぁぁって内心叫びしばらく床を転がる。するとフィリスは平然な声で言った。



「転生まで自由にしてていいよ」



こんちくしょう! なんだよ自由って!!

なんも出来ねぇよしばらく!!



「十二時間後、それまで処理しなきゃならない書類片付けるから」



あ、あ、あ、待て待て!? 書類の為に俺を置いていくのかぁぁぁぁ!!



しばらく動けないスタン変態君はワイルドチキンと戯れてなさい」

「少年、その気持ち二百倍わかる」

「慰めんなチキン」

「コケッ!!」




とゆうわけで今居る女神部屋を歩いた、実は三つの部屋があり指鳴らしで転移仕組み。不思議だなぁ。修行部屋、女神部屋、あと一つは知らない。



今フィリスは女神部屋に居るはずなのに、その姿はない。まぁ書籍とか沢山あるけど、たまに十八禁が挟まってるのはあるBLあるな。



「いかがわしいものですなぁ。よしよし、ちゃんとした少女。ああゆうシチュエーション好きなんだな。さて、次行こうか」



パチンッ!!


指を鳴らした瞬間、視界がぐにゃりしてフィリスの寝室に着いた――――。



ぬいぐるみが沢山なんだけど、なんか下着が散乱してるぞ。だらしなさあるけど、女の子らしい部屋で緊張しかしない。

童貞の命いくつあればいいか分からないので再び指を鳴らした。



次は足元は水浸しの部屋。壁みたいな空間に星が散りばめられてる。見上げれば満天な星空である。

なんの部屋だろう? 星占いにしては規模でかい。女神だから清らかにかふむなるほど。



「あ、龍騎ここにいたんだ」

「フィリスここは?」

「ここは、星々の導き。転生者の占いみたいなもの、ほらあそこ強く光ってるでしょ?」



右上にある星は強いきらめきを放っていた。



「あれは、君だよ」

「おれ?」

「うん、転生者として成功する。龍騎はそんな強さがあるのよ」

「そうなのか?」

「そうだよ、私が言うんだから!!」

「張る胸ないよ」

「うっさい!!」



今日もぶたれた理不尽だなぁっと思っていたが――――。



「ふふっ」

「なーに笑ってんだよ」

「別にぃ―――」



一番いい顔を浮かべていた、俺はフィリスの楽しさ、いや、楽しませるのが一番なんだろうなっと感じた。

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