女神の本気

俺が振り抜ぬいた衝撃波の一撃は、フィリスに掠るが細剣で弾かれた。

―――おっと、何とか衝撃波でフィリスの髪の毛を数本散らせたけど。さっき咄嗟にでた一撃もしかしたら今日こそかもしれねぇ!



俺の微かな確信と裏腹に、フィリスはやや驚きの表情だ。意外な表情で可愛い。だが、好機チャンスを逃さない、俺は体制を整えて俺は再び構えた途端だった。



「少しし過ぎたかな? 私、こう見えてとまで呼ばれつたんだよ――――?」



少しキリッとしたフィリス表情の変化だけで空気が変わる。女神様カッコよすぎる! いや、感心してる場合か!!




「少し本気出すよ――――」



フィリスがそう言い吐いた直後―――

。速い!!

反射的に顔をギリギリ逸らした俺は紙一重で回避する。




「まだまだ!!」



言葉を放つ間もなく、フィリスの猛攻撃が俺を追い込んでいく。前言撤回、確信は違ったに変わる。可愛いは正義で強いと言ったもんだからな。



てか、しゃれにならない速さだ!!




回避するにしても、疲労で身体は付いてこない、鉄塊の重さは鉛で動きに限りがある。

つまり、マゾプレイ見たく耐えるしかない。




聖剣連撃シャイニング・ブレイド!!」

「ぐはっ!!」

小惑星一撃フィリスインパクト!!」

「ぐぁぁあぁぁぁ!!!」



フィリスの猛攻撃は続き、身体に刻まれた生傷がズキズキ痛みが走る。僅かに視界がブレて、フィリスの分身に見えてくるほどだ。



「あら? もう限界かしら?」

「ぐっ!」

「慢心は良くない、自分の実力を考えてよ」



少し本気出しただけで、足元すら及ばない

強い、いや!!

これが女神の強さか、笑えてくるだからが嫌なんだよな。



やけくせそに俺は鉄塊を持ち上げようとするが手に力が入らない―――――。




「くそっ!! こんなところで――――!!」




そうこうしてると、フィリスの姿が映り込み――――。



「さようなら」



ザシュッ



あ。



吹き出す血が視界を遮る、力なくただただ床に倒れた。負けたんだ。

床に流れ落ちて滴る俺の血液を眺めた、あぁ、これが本当の死だよな。




「弱い、ほんの少し本気で。けど、甘いわ、プリンの様に」

「ぐっ! 例えが可愛い!!」

「か、可愛いって言うなっ!!」

「へへっ、まだ動けるぞ!!」



俺は出血した身体にムチを打ち無理やり拳をフィリスに振り抜いた。だが、なにかの障壁に拒まれ届かない。



「――――ぐっ!!」

はぬるい。これぐらいで負ける様ならなんて夢よ」

「ああ! 確かにそうかもな! けど、そこで諦めたらまじで終わるんだよ!!」



俺は強引にも見えない障壁に拳をもう一度振り抜いて砕いた。

しかし、フィリスの姿はそこになかった。



「その身体で動くのは凄い、けど、それは戦闘では――――――」

「!?」


フィリスに俺の背中に回りこみ背中を指で軽く押された瞬間、思いっきり前に屈み床を転がった。


「遅れとる《後者》よ」



あまりにも力の差に、俺は天を見上げて言葉を失う。



「限界かしらね? 動かない方がいいわ」



だが、何故だろうか? 諦めたくないのはある。俺の意思プライドが許さない。


「まだ、だ」

「?」

「まだ、おわれ―――ない!」



だからこそ、俺は何度でも立ち上がる。

フィリス近づいたタイミングで身体を起こして顔に頭突きする。



「痛い!? 何すんのよバカ!!」

「あ、すまん」



既にボロボロで立ち上がれないぐらいの激痛が襲う俺だが、笑みを浮かべていた。



「笑ってられるの? 私の力の差に、おかしくなったの?」

、力の差がえぐすぎてな」



血で濡れた手で鉄塊を掴む、そして、静かに持ち上げた俺は―――。そのずっしりとくる重さにふらつきゆっくりと構える。恐らくこれが最後の一撃だ。



「まだ立ち上がるとか馬鹿よ。けど、その眼差しいい目よ。これで決めるわ―――!!」



俺は一閃居合カウンターだけに集中させる事だけを考えた。



ギリッ


フィリスは予想通りに躊躇いもなく走り、見事だ賞賛に値する。俺が振り抜く範囲リーチ踏み込む――――。



ここだ!!



その時だ、青いオーラが俺の握る鉄塊に纏い揺らいだ。焼け切る様なだ。



「――――!!?」

「喰らえ!! 蒼き炎の振りブレイズ・ブレード!!」



俺は真横に振り抜ぬいた、青い炎と衝撃波がフィリスに至近距離で放たれ吹き飛ばした。



「な、なんなのこれは!? やばい、この力は食らったらまずい!! 」



床を滑りながらフィリスは歯を食いしばり、上に向かって弾き飛ばす。轟音が馳せて天井から、瓦礫が降り注ぎ砂埃が舞い上がった。



「はぁはぁ―――。 今の一撃は、危なかった」


フィリスが息を切らしていた、かなりやばかったのが伝わったのを見届けた俺はゆっくりと倒れた。



「――――」

「龍騎!?」


身体に力は入らない、フィリスが慌ててる姿をぼやけた眼差しで見てからスーッと意識が飛んだ。


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